死んだら、お墓に入る
親世代では上記の考えが一般的で、特別な理由がなければ別の選択肢を選ぶ人は少数でした。
しかし、現代では
- 核家族化
- 単身者の増加
などのライフスタイルの変化で跡取りという考え方も主流ではなくなり、親から子にお墓を継承するケースは年々減少傾向にあります。
とはいえ、
親の墓を具体的にどうすればいいの?
そもそも墓じまいって何?お金はかかるの?
墓じまい後の遺骨の供養先はどうすればいいの?
などがわかっていないと、残っているお墓の対処に悩んでしまいますよね。
そこで本記事では、個別相談実績700世帯を超えるFP土屋が、以下の方に役立つ情報をお届けしていきます。
- 親の墓をどうすればいいか迷ったときにやることを知りたい方
- 墓じまいをできるだけ安く済ませる方法を知りたい方
- 供養先の特徴や費用相場を知りたい方
ぜひ、参考にしてくださいね!
土屋 剛(つちや ごう)
- 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
- 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
- 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
親の墓をどうするか悩む子供が増えている理由
親の墓をどうするか迷っているなら、とりあえず墓じまい※すればいいんじゃないの?
と考える方もいるかもしれません。
しかし、実は一口に墓じまいといっても、場合によっては数十万円~数百万円の費用がかかるケースがあります。(※遺骨の供養先によって異なる)
また、子供にとっては不要なお墓でも、親は自分が死んだ後に入るお墓がないのは悲しいと考えているケースも少なからずあるのです。
とはいえ、じゃあお墓を残せばいいのかというと、そう簡単な話ではありません。
自分がお墓に入るつもりがなくても、お墓を残す場合には、
- 維持管理費を年間5千円~2万円前後支払わなければならない
- 定期的なお参りや墓掃除が必要になる
- 自分の死後、子供や孫に不要なお墓を残すことになる
などの問題を、親の死後の数十年間にわたって背負わなければならないからです。
そのため、
- 遠方で墓の管理をするのが現実的に難しい
- 自分の子や孫にまでお墓を受け継がせたくない
- 墓を継承してくれる人がいない
- 自分はお墓に入るつもりはない
などの場合には、問題を先送りせずに自分または親の代でしっかり墓じまいと向き合う必要があります。
お墓を片付けて更地にし、お寺や墓地の管理者に敷地を返還すること。
では次に、親の墓をどうするか迷ったら「最初にしておくこと」について詳しく解説していきます。
親の墓をどうするか迷ったら最初にしておくこと
親の墓をどうするか迷った場合に最初にしておくことは、「生前の話し合い」になります。
というのも、親がまだ元気な65歳前後でお墓についての意向を聞いておかないと、自分にとっては不要なお墓でも親は子に継承させるつもりになっているケースがあるからです。
具体的には、自分の代でお墓は不要だと考えている理由を親に伝えた上で、
- 親・子供側が負担できる金額はいくらなのか
- 墓じまいのタイミングはいつ頃にするか
- 墓を無くした後の親の遺骨の供養先はどうするか
を話し合う必要があります。
では、話し合いをする上で重要になる墓じまいの費用相場をチェックしていきましょう!
墓じまいの費用相場は約50万~150万円
墓じまいをして、遺骨を次の供養先に納めるまでにかかる費用相場は総額で約50万~150万円です。
そのうち、お墓の撤去にかかるのは約20~30万円程度になります。
つまり、墓じまいにかかるコストの大半は、
- お墓を撤去するときではなく(約20~30万円)
- 墓を無くした後の遺骨の供養先にかかる代金(残りの数十万~数百万円)
だと言えるのです。
逆に言えば、供養先の費用を抑えれば、墓じまいにかかるお金も節約できます。
費用が安い供養先の種類をこの次に5パターン紹介しているので、ぜひ参考にしながら話し合ってみてくださいね。
親の墓じまいと5つの供養先!特徴や費用相場は?
親が墓じまいをした後の遺骨の供養先は、主に
- 送骨
- 手元供養
- 散骨
- 樹木葬
- 永代供養
の5つになります。
では次に、供養代金が安い順に特徴や費用相場について詳しく紹介していきますね。
①送骨
送骨とは、遺骨を寺院や霊園に郵送し納骨する比較的新しい供養の方法です。
費用相場
- 約2~5万円程度
- 安いケース:9,900円
- ほとんどの場合、年間管理費を支払う必要がないが念の為確認を推奨
②手元供養
手元供養とは、自宅や身近なところに遺骨の全部または一部を保管する供養の方法です。
具体的には、
- アクセサリーの中に遺骨を納める
- 骨壷、ミニ骨壷で部屋に保管する
- ミニ仏壇、飾り台に遺骨を納めて自宅でお参りできるようにする
などが手元供養にあたります。
費用相場
- アクセサリー類:約2万~5万円
- ミニ骨壷:約2万円
- 供養台:約3万円
- Amazon等でも商品が販売されており、安いものでは数千円から購入できます。
②散骨
散骨とは、遺骨を粉状にして海や山などにまく供養の方法です。
- 個人で勝手に海などに遺骨を散骨するのは違法行為です。散骨を希望する場合は、必ず業者に依頼しましょう!
費用相場(海に散骨する場合)
- 1家族が単独で船を利用:20~30万円程度
- 複数の遺族合同で散骨:10万円前後
- すべて業者に委託:5万円前後
- 安いケース:15,800円
④樹木葬
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花をシンボルとするお墓に供養する方法のことです。
- こちらも通常のお墓とは異なり、継承者を探す必要はありません。
費用相場
- 1家族1シンボルの樹木葬:50万円~150万円
- シンボル共有・骨壺アリの樹木葬:20万円~60万円
- シンボル共有・骨壺なしの樹木葬:5万円~20万円
- 安いケース:3.3万円~
- 遺骨を個別で安置し続ける場合には、年間管理費がかかるケースがあります。
⑤永代供養
永代供養とは、ご遺族や子孫に代わって霊園や寺院などがご遺骨を管理する供養の方法のことです。
費用相場
- 1人用料金の目安: 約25万~100万円
- 家族用料金の目安: 約50万~200万円
- 特に霊園や寺院にこだわりがない場合は、送骨を選ぶことで安く永代供養をお願いすることができます。
- ほとんどの場合、年間管理費を支払う必要がないが念の為確認を推奨
では次に、親の墓をどうするか問題でよくある質問にお答えしていきます。
親の墓をどうするか問題でよくある質問3選
親の墓をどうするか悩んでいる方に、
- 墓じまいの費用は誰が負担するもの?
- お墓を継ぐ人は親族でないとダメなの?
- 親の墓を放置したらどうなる?
といった3つの質問をいただくことがあるのでお答えしていきますね!
Q1:墓じまいの費用は誰が負担するもの?
A.墓じまいの費用負担者は、原則お墓を継承した人です。
ただし、お墓を残す場合も墓じまいをする場合もお金がかかるため、実際には
- 親が死ぬ前に墓じまいの費用を残しておいたり
- 兄弟で分割して管理料や墓じまいの費用を支払ったり
するケースが多くあります。
実際に墓じまいが必要になったときに揉めないために、やはり親が元気なうちに話し合いをしておくのがおすすめでしょう。
Q2:お墓を継ぐ人は親族でないとダメなの?
A.法律上は、誰でも受け継ぐことが可能です。
具体的には、
- 遺言等で指定された人
- 慣習・親族間の話し合いで決められた人
- 家庭裁判所の調停か審判で決められた人
の優先順位でお墓を継承する人が決められます。
ただし、墓地や霊園によっては、お墓を承継する人は血縁者と限定されているケースもあるため、事前確認をしたほうが良いでしょう。
Q3:親の墓を放置したらどうなる?
A.無縁墓になり、霊園・墓地の管理者によってお墓が強制撤去されます。
具体的には、年間管理費を支払わず放置した場合には、
- お墓を継承した人に、管理料の支払い督促がくる
- 期限後に該当区画での立て札、または官報掲載により使用者確認の告知がある
- 告知後一定期間を過ぎても連絡がない場合は、遺骨が取り出される
- 墓石は撤去され更地になり、次の使用者の募集を始まる
といった手順で遺骨が合祀墓に移されるケースがほとんどです。
ただし、年間管理費を支払っていれば、お墓の清掃等ができていなくても強制撤去はされません。
どちらにせよ管理ができない状態で放置して
- 霊園や寺院からの連絡がくる
- 大切なご先祖様を放っておく
のもなかなか心苦しい状況だと言えます。
お墓の管理が難しいと感じたら、無理をせず早め早めに墓じまいの準備をするのがおすすめでしょう。
結論:親の墓をどうするかは生前の話し合いが重要になる!
それでは最後に、「親の墓をどうするか問題」で重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
自分がお墓に入るつもりがなくても、親から受け継いだお墓を残す場合には、
- 維持管理費を年間5千円~2万円前後支払わなければならない
- 定期的なお参りや墓掃除が必要になる
- 自分の死後、子供や孫に不要なお墓を残すことになる
などの問題を、親の死後の数十年間にわたって背負うことになります。
そのため、墓じまいを検討する場合には費用負担割合や墓じまいのタイミング等を、親が元気で生きているうちに話し合っておくのがおすすめです。
具体的には、墓じまいのコストを占める大半は供養先の料金で決まるため、
- 送骨
- 手元供養
- 散骨
- 樹木葬
- 永代供養
の順に、安い供養先の中からどれが良いのかを親と相談してみましょう!
以上、今回は親の墓をどうするか問題について紹介しました。
ぜひ、本記事を参考に親と子で話し合う時間をとり、双方で納得できる墓じまいの方向性を探ってみてくださいね!
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