2022年6月10日。
約2年2ヶ月ぶりに、外国人観光客の受け入れが再開されました。
具体的には、
- 入国者の約8割に相当する
- 98の国や地域からの入国については
- ワクチン接種がなくても検査などを免除する
方針※になっているとのことです。
このニュースを聞いて、
他国から、コロナウイルスが持ち込まれたらどうするんだろう?
外国人観光客のマナー違反で、また街が汚れたり混雑したら嫌だな…。
と、インバウンド(外国人が日本に観光しにくる)への不安を感じる方も多いと思います。
しかし、日本は現在「インバウンドはいらない」と拒否できる状態ではありません。
そこで本記事では、FP歴15年の土屋が7つの理由から「なぜ、日本がインバウンドはいらないと言っていられない状況なのか」を徹底解説していきます。
ぜひ本記事を読んで、インバウンドのデメリットだけでなくメリットにも目を向けてみてくださいね!
土屋 剛(つちや ごう)
- 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
- 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
- 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
日本がインバウンドはいらないと言っていられない理由7選
日本が現在、インバウンドはいらないと言っていられない理由は以下の7つです。
- 国内消費が減少しているから
- 世界観光ランキング1位で今がチャンスだから
- 急速に進む円安にストップをかけられるから
- インバウンドはまだまだ伸びる産業だから
- 地方活性化で雇用も増えるから
- 国際交流の機会を増やせるから
- インバウンドで日本企業が盛り上がるから
それぞれどういうことか、お話していきますね!
①国内消費が減少しているから
日本人がインバウンドはいらないと言えない1つ目の理由は、「国内消費が減少しているから」です。
日本は現在、
- 少子高齢化
- 人口減少
というすぐに解決できない問題によって、今後内需を回復させるのが難しいどころか、どんどん消費者が減っていく問題に直面しています。
また、
- 長きにわたる不況
- コロナによる感染対策
- ウクライナ侵攻
などの影響で、現在は実質賃金は上がらないのに、物価だけ上がるという非常に厳しい状況です。
財布の紐をかたく締める人も多く、国内の需要だけでは「物が売れない」状態になっています。
つまり、日本経済を維持するためにも、外国人観光客による消費拡大が現在の日本に必要なのです。
実際にコロナ前の2019年には、
- 約3,200万人もの外国人観光客が日本を訪れ
- 約4兆8,000億円もの経済効果
を生み出していました。
今後、内需を強化するお金を確保するためにも、今はインバウンドによって日本経済を回復させる道筋を作っていく必要がありそうです。
②世界観光ランキング1位で今がチャンスだから
日本人がインバウンドはいらないと言えない2つ目の理由は、「世界観光ランキング1位で今がチャンスだから」です。
詳しくは、2022年5月に公表された以下記事をご覧ください。
スイスの民間研究機関の世界経済フォーラムが2021年の旅行・観光の魅力度ランキングを発表し、日本が対象117か国・地域の中で1位になった。
※引用:観光ランキング 日本の潜在力を示した世界一 : 読売新聞オンライン
日本がこの調査で1位を獲得するのははじめてで、これまでの推移を見ても、日本の魅力が世界に認められてきていることがわかります。
日本の世界観光ランキングの推移
西暦 | 順位 |
---|---|
2011年 | 22位 |
2013年 | 14位 |
2015年 | 9位 |
2017年 | 4位 |
2019年 | 4位 |
2021年 | 1位 |
つまり、現在日本は「旅行・観光の魅力」が世界から注目されており、インバウンドをいらないと言うには、非常にもったいない状態なのです。
日本は現在さまざまな問題を抱えていますが、他国から見ると
- 衛生面が行き届いている
- 接客サービスが手厚い
- 交通インフラ(公共交通機関)が整っている(正確)
- 一定の世界遺産がある(25箇所)
など、観光するのに非常に優れた点が多くあります。
インバウンドによるデメリットはもちろんありますが、日本の良さを世界の人に知ってもらう良い機会です。
さまざまな原因で鈍化している日本経済を、このチャンスを使って盛り上げていきましょう。
③急速に進む円安にストップをかけられるから
日本人がインバウンドはいらないと言えない3つ目の理由は、「急速に進む円安にストップをかけられるから」です。
インバウンドが増えるということは、外国人観光客が日本で買い物をするために、
- 自国の通貨を
- 日本円に変える
必要があります。
つまり、「円を買う人」を増えるので、インバウンド需要が拡大することで、急速に進む円安を抑制しやすくなるのです。
④インバウンドはまだまだ伸びる産業だから
日本人がインバウンドはいらないと言えない4つ目の理由は、「インバウンドはまだまだ伸びる産業だから」です。
実はコロナ前のインバウンド需要はまだ増加途中で、今後もっと経済効果を生み出す予定でした。
実際に、世界各国のコロナ前の
- 国際観光収入ランキング
- 外国人旅行者受入数ランキング
を見ても、他国と比べて日本のインバウンド需要は今後まだまだ拡大できる余地があることがわかります。
つまり、今がピークなのではなく、インバウンドは今後ますます経済効果が狙える日本の一大産業なのです。
⑤地方活性化で雇用も増えるから
日本人がインバウンドはいらないと言えない5つ目の理由は、「地方活性化で雇用も増えるから」です。
人口減少に歯止めが効かない日本にとって、地方から働き先が多い都市部に若者が流出する動きは止められません。
地方の過疎化は、どんどん進行しています。
しかし、外国人観光客によって地方に新たな需要が生まれれば、
- その需要を満たすために
- 次々と新たな品物やサービスの生産
が誘発されるのです。
実際にコロナ前の2019年には、インバウンドによる生産波及効果(新たな需要によって、その需要を満たすためのサービスや品物の生産が増えること)は1.75倍にもなりました。
つまり、インバウンドによって消費量が増え、さまざまなサービスや品物の生産が増加することで、
- 新たな雇用が生まれて
- 若者が地方に留まったり、地方に戻ってきたり
する環境を整えることができるようになるのです。
さらに、消費や需要が増えれば、人口が少ない影響で増えている地方の「空き家」や「広大な土地」も観光地として有効活用できるようになります。
また、国内需要が減少している日本独自の伝統文化や伝統工芸品についても、インバウンドによって盛り上げることが可能です。
そういった意味で、日本全体にとってもインバウンドはメリットが大きいと言えます。
⑥国際交流の機会を増やせるから
日本人がインバウンドはいらないと言えない6つ目の理由は、「国際交流の機会を増やせるから」です。
インバウンドによって、日本に訪れる外国人観光客の数が増えれば、おのずと国際交流の機会も増えます。
サービス業でも外国語対応は非常に重要なり、結果的に
- 言語力が養われたり
- 多様な価値観を学べたり
- 他国との違いを知り、日本の良さを再認識できたり
するキッカケになるでしょう。
海に囲まれ、他国との交流が少ない日本にとって、インバウンドは多くの学びを与えてくれる良い機会になります。
⑦インバウンドで日本企業も盛り上がるから
日本人がインバウンドはいらないと言えない7つ目の理由は、「インバウンドで日本企業も盛り上がるから」です。
かつて日本は「ものづくり大国」と呼ばれ、高い技術力で商品を世界に輸出し、経済を成長させてきました。
しかし、現在は企業時価総額ランキングTOP20社に14社も入っていた日本企業は消え、代わりにGAFAMと呼ばれる
- Amazon
- Apple
- Microsoft
などのIT企業がランクインし、世界で圧倒的な存在感をみせています。
また、日本では次世代への投資も少なく、現状新たな産業が生み出されにくい状態です。
そして、貧しくなっていく中で、「新たな研究」や「人」に投資するお金もどんどん減少しています。
そういった意味で、日本の未来を考えたときに、新たな消費を生み出すインバウンドは起爆剤になってくれます。
なぜなら、インバウンドによってさまざまな需要が増加することで、日本企業の新陳代謝が促進され、新たな産業が生まれやすい環境が整うからです。
企業が成長するためには、需要を拡大させる他ありません。
そして、企業が儲かれば、日本国民の賃金も上昇しやすくなります。
今後、インバウンドは日本経済を支える大きな柱となる可能性を秘めていると言えるでしょう!
結論:沈みゆく日本経済にはインバウンドが必要不可欠!
それでは最後に、日本とインバウンドについて重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
日本が現在、インバウンドはいらないと言っていられない理由は、
- 国内消費が減少しているから
- 世界観光ランキング1位で今がチャンスだから
- 急速に進む円安にストップをかけられるから
- インバウンドはまだまだ伸びる産業だから
- 地方活性化で雇用も増えるから
- 国際交流の機会を増やせるから
- インバウンドで日本企業も盛り上がるから
の7つです。
インバウンドはニュースなどで悪い面が注目されがちですが、日本経済や国民にとって良い面もかなり多いと言えます。
ぜひこの記事を参考に、日本の現状を知って、インバウンドとの向き合い方を今一度考えてみてくださいね!
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