ランドセル症候群とは?3つの原因&6つの対策にかかる費用をFPが解説

ランドセル症候群とは?3つの原因&6つの対策にかかる費用をFPが解説

”ラン活”と呼ばれる言葉ができるほど、小学校入学を控えた子供(孫)を持つ保護者(親・祖父母)のランドセルへの関心は高いです。

実際にランドセル工業会の調査データを見ても、ランドセルへの投資を惜しまない保護者(親・祖父母)が多い印象を受けます。

ランドセルの購入金額帯(2022年)
~24,999円
6.5%
25,000円~39,999円
12.9%
40,000円~54,999円
18.0%
55,000円~64,999円
24.8%
65,000円~
30.4%
よくわからない
7.3%
  • 購入平均額:56,425円
  • 購入割合が最も多い金額:65,000円以上のランドセル

とはいえ、そんな決して安いとはいえないランドセルが原因で、小学生の約7割が心や身体に不調をきたす”ランドセル症候群”問題に陥っていることをご存知でしょうか?

マネ美

知らないけど、何が問題なの?

マネ太

知ってるけど、対策していない。

といったご家庭の場合には、本記事を読んでいただくことで、

  1. ランドセル症候群の原因&対策
  2. 子供の心や身体に配慮したランドセルの選び方

の2つがバッチリ分かるようになります。

土屋剛(FP)

「ランドセルを購入予定の方」「すでに購入済みのランドセルの重さを軽減したい方」は、ぜひ参考にしてくださいね!

執筆・監修者

土屋 剛(つちや ごう)

  • 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
  • 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
  • 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
FP土屋
もくじ

ランドセル症候群とは?3つの原因&さんぽセル論争を解説

ランドセル症候群とは?3つの原因&さんぽセル論争を解説

ランドセル症候群とは、

  • 身体に合わない大きさや重さの
  • ランドセルを背負って通学することで
  • 子供の心身に不調が現れる症状

のことです。

ランドセル症候群の主な症状※1※2
  • 首が痛い
  • 肩こり
  • 腰痛
  • 頭痛
  • 抑うつ(学校への行き渋り、通学ブルー)
  • 猫背、背骨が曲がる、姿勢の湾曲(特に筋肉が未発達な低学年時)

しかし、ランドセル症候群への理解はまだ不十分だといえます。

なぜなら、当事者の小学生がランドセルの重さを軽減する「さんぽセル」という商品を開発したところ、大人から

マネ男

楽するな!

マネ子

背負って鍛えたほうが良い!!

などの1,000件を超える批判コメントが殺到して、子供が正論を突き返す「さんぽセル論争※3」などがニュースになっていたからです。

土屋剛(FP)

そこでここからは、まず大人と子供の認識のズレをなくすために、現代の子供がランドセル症候群に苦しんでいる3つの原因を詳しく紹介していきます。

①今の小学生は親世代より圧倒的に荷物が重い

現代の子供がランドセル症候群に苦しんでいる1つ目の理由は、「今の小学生は親世代より圧倒的に荷物が重い」です。

具体的には、教科書だけでも

  • 学習指導要領の内容の充実
  • 記述やレイアウトの工夫

に伴い例年ページ数が増え続け、大判化されて重くなっています。

教科書のページ数の推移(小学生)

年度総ページ数
平成17年度(2005年)4,857ページ
平成23年度(2011年)5,916ページ
平成30年度(2018年)7,587ページ
令和2年度(2020年)8,520ページ
→15年で約1.8倍もページ数が増えている(道徳・英語を除く)

また、そのほかにも、

  • ノート
  • 体操着
  • 筆箱
  • リコーダー

なども入れると、2018年時点のデータでも約6kgを超える荷物を小学生が背負って通学しているのです。

ランドセル本体を除く荷物のみの重さ(平均)

学年全国
小13.6kg
小24.1kg
小34.7kg
小45.0kg
小55.2kg
小65.4kg
全学年平均4.7kg
→ランドセル本体(約1.3kg)+荷物のみの平均(約4.7kg)=約6kg

さらに、新型コロナの流行移行は、タブレットや水筒も必要になり荷物がさらに重くなりました。

土屋剛(FP)

小1~小3(小学校低学年)の背負う荷物の重さは、2.5kg以下が適切だという医師の意見※1※2もあります。

低学年時でも平均で約4.7kg~6.0kgの荷物を背負っていることを考えると、早急な対応が必要だと言えるでしょう。

②文部科学省が通達しても、約半数が置き勉不可

現代の子供がランドセル症候群に苦しんでいる2つ目の理由は、「約半数が置き勉不可」です。

2018年には、

  1. 身体の健やかな発達に影響が生じかねないこと等の懸念
  2. 保護者等からの配慮を求める声が寄せられている

ことから、文部科学省は正式に「置き勉」を認める書面を各地の教育委員会などに発行しました。

しかし、実際には

  • 掃除のときに机が重くなる
  • 次の日の学習を用意する習慣が身につかない
  • 生徒指導の一環

などの理由から、約46.8%の小学生が学校で置き勉を禁止されているようです。

③従来のランドセルは重い素材が多い

現代の子供がランドセル症候群に苦しんでいる3つ目の理由は、「従来のランドセルは重い素材が多い」です。

従来のランドセルの平均的な重さは約1.1kg〜1.3kgほどで、小学校低学年が背負える適切な重量である2.5kgのほぼ半分を占めています。

これは、「本皮」「人工皮革」などのランドセルの素材が大きく関係しているのです。

逆に言えば、革にこだわらずナイロンやポリエステルなどで作られたリュックを選べば、この問題は解決できます。

しかし、革製のランドセルは明治20年(1887年)から135年も続く日本独自の文化。

今までは、

  • 同調圧力
  • ランドセル業界の既得権益

があり、革製以外のランドセルを購入する選択肢がなく、小学生には重すぎる素材のランドセルが使われ続けてきたのです。

土屋剛(FP)

では次に、そんな3つの原因が重なって起こるランドセル症候群を防ぐ6つの対策について紹介していきます!

ランドセル症候群を防ぐ6つの対策とは?かかる費用も解説

ランドセル症候群を防ぐ6つの対策とは?かかる費用も解説

子供の心身に悪影響を及ぼすランドセル症候群ですが、実は6つの対策があります。

ランドセル症候群の対策
  1. 学校と置き勉の相談をする
  2. 軽量化された通学カバン・リュックを選ぶ
  3. 肩ベルトの位置を調整する
  4. 背中側・上部に重い荷物を寄せる
  5. チェストストラップを利用する
  6. 徒歩20分以上ならさんぽセルの利用も検討
土屋剛(FP)

それぞれの対策方法や費用について詳しくお話していきますので、ご家庭で導入できそうなものから試してみてくださいね!

①学校と置き勉の相談をする

ランドセル症候群を防ぐ1つ目の対策は、「学校と置き勉の相談をする」です。

先程、『②文部科学省が通達しても、約半数が置き勉不可』でもお伝えしたとおり、2018年には文部科学省からも置き勉を認める文章が発行されました。

しかし、中にはこの通達がきちんと把握されずに、古い習慣の名残で置き勉不可がルールとして残っている学校もあります。

そのため、まずは学校側に

  1. 文部科学省から通達が出ていること
  2. 置き勉不可の影響で、子供がランドセル症候群に陥る危険性があること

の2点を伝えた上で、置き勉ができるようにしてもらえないか相談をしてみましょう。

土屋剛(FP)

相談するだけなので、対策費用もかかりませんよ!

②軽量化された通学カバン・リュックを選ぶ

ランドセル症候群を防ぐ2つ目の対策は、「軽量化された通学カバン・リュックを選ぶ」です。

従来の革製ランドセルの平均重量は、約1.0~1.3kgのものが主流です

しかし、最近はランドセル症候群に悩む多くの保護者の声に答える形で、

  • 軽くて
  • 柔らかくて
  • クッション性があって
  • タブレットが入るポケットもついていて
  • 手頃な価格で
  • 丈夫な

軽量化されたランドセル代わりの通学カバン・リュックが増えてきています。

そのため、従来の「小学生=革製のランドセル」といった固定概念を変えるだけでも、お子さまの負担を軽減できるでしょう。

土屋剛(FP)

おすすめの軽量化された通学カバン・リュックの費用や重さは、この後に紹介しています。

ぜひ、参考にしてみてください!

1kg以下の通学カバン・リュック

商品名重さ金額(税込)
BeMee550g9,899円
RAKUSACK(ラクサック)830g~880g9,900円~11,000円
ランリックⅡ900~970g12,540円~18,920円
RAKURI930g16,500円
NuLAND<ニューランド>750g~990g36,300円

文部科学省や教育委員会(国)で、革製のランドセルを使用しなければならないといった取り決めはありません。

実際に、一部の自治体では軽量化された通学カバンが積極的に使用されています。

しかし、小学校によっては従来のランドセルの使用を一律で求めているケースもあります。

そのため、軽量化されたカバン・リュックを購入される場合には、念のため通学している(する予定の)小学校に事前確認いただくのがおすすめです。

③肩ベルトの位置を調整する

ランドセル症候群を防ぐ3つ目の対策は、「肩ベルトの位置を調整する」です。

具体的には、

  • 背中とランドセル(またはリュック)が
  • ピタッと背中と密着するように
  • 肩ベルトの位置を調整する

ことで、身体全体に負荷を分散できます。

こちらは肩ベルトの位置を調整するだけなので、対策費用はかかりません。

土屋剛(FP)

正しいランドセル(リュック)の背負い方は、以下サイトや動画を参考にしてみてくださいね。

ランドセル(リュック)の背負い方の解説サイト

ランドセルの背負い方の解説動画

④背中側・上部に重い荷物を寄せる

ランドセル症候群を防ぐ4つ目の対策は、「背中側・上部に重い荷物を寄せる」です。

背中側・上部に重い荷物を寄せることで、荷物が動いたときに

  • 反動が強くなったり
  • 後ろに引っ張られたり

する力を弱めて、重さやふらつきを感じにくくできます。

こちらも荷物の位置を調整するだけなので、対策費用はかかりません。

土屋剛(FP)

ランドセル代わりの軽量通学カバンの中には、リュック内の教科書の揺れを最小限に抑えられる機能がついているものもあります。

詳しくは、以下動画をチェックしてみてくださいね。

ブックストラップの動画

⑤チェストストラップを利用する

ランドセル症候群を防ぐ5つ目の対策は、「チェストストラップを利用する」です。

チェストストラップとは、肩ベルトを胸の前で留めるための補助具のことで、利用することで以下のようなメリットを得られます。

チェストストラップの使用メリット
  • ショルダーベルトの肩への食い込みを軽減する
  • 歩行時にランドセル(リュック)の揺れを抑制して、肩や腰の負担を減らす
  • ショルダーベルトのずり下がりを防ぐ
土屋剛(FP)

後付できるチェストストラップの費用などは、以下で紹介しているので参考にしてみてください!

後付できるチェストストラップ(ベルト)

⑥徒歩20分以上ならさんぽセルの利用も検討

ランドセル症候群を防ぐ6つ目の対策は、「徒歩20分以上ならさんぽセルの利用も検討する」です。

家から小学校が遠い場合には、『ランドセル症候群とは?3つの原因&さんぽセル論争を解説』でも紹介したさんぽセルの利用を検討してみましょう。

そもそもの”背負う”という行為を辞められるので、ランドセル症候群問題を根本から解決できます。

長時間登校に苦しむお子さまの負担を大幅に軽減できるでしょう。

ただし、現在は注文が殺到しており、2022年6月時点で4ヶ月待ち(10月下旬のお届け)となっています。

注文される場合には、早めに申し込むのがおすすめです。

土屋剛(FP)

さんぽセルの費用や注文先は、以下を参考にしてください!

さんぽセルの費用や注文先

結論:ランドセル症候群を防いで登下校の負担を減らそう!

それでは最後に、「ランドセル症候群の原因や対策」について重要なポイントを簡単におさらいしていきます。

本記事のまとめ

ランドセル症候群とは、

  • 身体に合わない大きさや重さの
  • ランドセルを背負って通学することで
  • 子供の心身に不調が現れる症状

のことです。

ランドセル症候群の発生原因は、

  1. 今の小学生は親世代より圧倒的に荷物が重い
  2. 約半数が置き勉不可
  3. 従来のランドセルは重い素材が多い

です。

そのため、

  1. 学校と置き勉の相談をする
  2. 軽量化された通学カバン・リュックを選ぶ
  3. 肩ベルトの位置を調整する
  4. 背中側・上部に重い荷物を寄せる
  5. チェストストラップを利用する
  6. 徒歩20分以上ならさんぽセルの利用も検討

の6つの対策を取り入れて、お子さまの負担を軽減してあげましょう!

以上、今回は「ランドセル症候群」についてお話しました。

土屋剛(FP)

ぜひ本記事を参考に、お子さまの通学ストレスを取り除いてあげてくださいね^^

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