「マンションを購入するなら管理を買え」
マンションを買おうと、探している人であれば1度は聞いたことがある言葉かもしれません。
というのも、マンションは戸建てとは異なり、ご家庭の判断だけで修繕や建て替えを行えないデメリットがあります。
そのため、安全で快適な住環境を長期にわたり守るためには、マンションの管理状態を購入前にしっかりチェックしておく必要があるのです。
そして、そんなマンションの管理状態をチェックする上で重要な制度が2021~2022年に3つ改定・新設されます。
そこで、本記事ではマイホーム購入支援も行うFP歴15年の土屋が、
の順に、今後マンション購入を検討している方に役立つ情報を解説してみました!
すでにマンションを購入している方も、今後自分が住んでいるマンションの管理状況を把握するために知っておいたほうが良い内容になります。
ぜひ、参考にしてくださいね^^
土屋 剛(つちや ごう)
- 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
- 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
- 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
【令和版】マンションを購入するなら知っておきたい3つの新制度
今回、読者の方に知ってほしいマンション管理に関連する制度は、
- 長期修繕計画作成ガイドライン
- 管理計画認定制度
- マンション管理適正評価制度
の3つです。
それぞれどういうものなのか、紹介していきますね!
①2021年9月改定:長期修繕計画作成ガイドライン
長期修繕計画作成ガイドラインとは、マンションの修繕計画書を作る際のガイドラインのことです。
具体的には、
- 将来的な修繕工事の費用を予め計画し、
- 修繕積立金をいつまでにどれくらい準備すれば
- 良いかを考えるためのツールである
長期修繕計画の大元になるルールとして、国土交通省が作ったのが長期修繕計画作成ガイドラインになります。
その内容が、2021年9月に大きく3つ改定されました。
長期修繕計画作成ガイドラインの改定ポイント(2021年9月)
改定ポイント | 改定前 | 改定後 |
---|---|---|
計画期間の見直し | 25年または30年の長期修繕計画を立てる | ・30年以上かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上の長期修繕計画を立てる ・長期修繕計画も約5年周期で調査を行い、約7年周期で見直しを行う |
修繕積立金の積立方法 | 現状では、段階的に修繕積立金を増額される「段階増額方式」が多くのマンションで実施されている | 長期間にわたり一定金額で徴収する「均等積立方式」を基本とする |
修繕積立金の金額 | 修繕積立金の設定方法の具体的な明記なし | 修繕積立金の額の具体的なチェック方法を記載 |
この改定を受けて、今後は修繕積立金が増額になるマンションが増える可能性が高いです!
ただし、今回の改定は従来のマンションにはハードルが高いため、すぐに準拠できる管理組合は少ないでしょう。
消費者がマンションを選ぶ際には、実際にどこまで改定後のガイドラインに沿う形で長期修繕計画が立てられているかをチェックする必要がありそうです。
②2022年4月から開始:管理計画認定制度
管理計画認定制度とは、国(地方公共団体)が「マンションの管理計画について一定基準を満たしていると認めた」か否かを可視化できるようにする制度のことです。
具体的には、国から認定されている場合には、
- マンション管理センターのHP等で
- 「認定マーク」を確認できる
ようになります。
この制度によって、今まで良好な管理状態を目指す基準がなかった管理組合が、
- 今後は目標が設けられたことで
- 改善に向けて具体的に計画できる
ようになりました。
ただし、国の定めるマンションの管理基準は、あくまでも最低水準。
「認定マークが付いてる=優良な管理がされているマンション」と言えるわけではありません。
消費者の方がマンション選びをする際は、最低水準を満たしているかどうかを判断する指標として認定マークの有無を確認すると良いでしょう。
③2022年4月から開始:マンション管理適正評価制度
マンション管理適正評価制度とは、マンション管理業協会が「マンションの管理計画について一定基準を満たしていると認めた」か否かを可視化できるようにする制度のことです。
国の管理計画認定制度と同時期にスタートするので違いがわかりにくいですが、目的はマンションの管理状況を可視化できるようにするという点で同じになります。
具体的な違いは、以下の通りです。
「マンション管理適正評価制度」と「管理計画認定制度」の違い
マンション管理適正評価制度 | 管理計画認定制度 | |
---|---|---|
運営 | マンション管理業協会 | 国(地方公共団体) |
審査項目 | 以下5つのカテゴリー、約30項目をチェック 1.管理組合体制関係 2.組合会計収支関係 3.建築・設備関係 4.耐震診断関係 5.生活関係 | 以下5つのカテゴリー、約16項目をチェック 1.管理組合の運営 2.管理規約 3.管理組合の経理 4.長期修繕計画の策定及び見直し等 5.その他 |
判定 | 5段階評価 | 認定の有無 |
有効期限 | 1年間 | 5年間 |
消費者は、「国の管理計画認定制度」と合わせて「マンション管理適正評価制度」の内容もチェックして、より精度が高いマンション管理の状況把握を目指しましょう。
では次に、マンション購入時に新制度を活用する3つのメリットを紹介していきます。
マンション購入時に新制度を活用する3つのメリット
マンション購入時に、ここまで紹介した3つの制度を消費者が活用するメリットは、
- 良好な管理状態のマンションを購入しやすくなる
- 購入時だけ安い管理費や修繕積立金に騙されにくくなる
- 資産価値が高いマンションを購入できる
の3つです。
一つひとつどういうことかお話していきますね!
①良好な管理状態のマンションを購入しやすくなる
マンションの管理状況を把握できる制度を活用する1つ目のメリットは、「良好な管理状態のマンションを購入しやすくなる」です。
これまで「マンションを購入するなら管理を買え」という言葉はあっても、現実的には
- 情報が不透明かつ公表されていない場合が多い
- 良好な管理状況かどうかを客観的に判断する指標がない
という問題があり、消費者がマンションの管理状況をしっかりチェックするのは難しい状態でした。
ですが、今後は3つの制度が新たにスタートした影響で、消費者がマンションの管理状況を今までよりも正確に把握できる時代になります。
新たな制度をしっかり活用して、良質な管理状態のマンションを選んでいきましょう!
②購入時だけ安い管理費や修繕積立金に騙されにくくなる
マンションの管理状況を把握できる制度を活用する2つ目のメリットは、「購入時だけ安い管理費や修繕積立金に騙されにくくなる」点です。
管理費や修繕積立金は少しでも安いほうが良いような気がしますが、実は大きな落とし穴が…。
というのも、先述したとおりほとんどの既存マンションでは、段階的に修繕積立金を増額していく「段階増額方式」が採用されています。
そのため、入居時は安い管理費や修繕積立金でも、入居後しばらくしてから増額されてしまうケースが多いのです。
相場よりも安すぎる管理費や修繕積立金だった場合には、長期修繕計画が改定後のガイドラインに沿う形で立案されているのかをしっかりチェックしたほうが良いでしょう。
でも、入居後に値上げされるなんて、困るな!
拒否することはできないの?
住民の合意があれば、値上げ要請を拒否することも可能です。
しかし、既存の管理会社から契約を解除されてしまう可能性があります。
それなら、別の安い管理会社を探せばいいんじゃないの?
ここ数年のマンション管理は売り手市場。
そう簡単に、都合の良い管理会社は見つかりません。
それなら、次の管理会社が見つかるまで住民が自主管理するのはどう?
一度でも自主管理になると、トラブルが発生するリスクが高くなることからより管理会社が見つかりにくくなります。
それに、管理コストを削ればメンテナンスが不完全になり、居住価値が落ちて廃墟化しやすくなるので自主管理はおすすめできません。
なるほど。
購入時は値段で判断するんじゃなくて、管理費や修繕積立金が適正価格になっているかを確認する視点が重要になるんだね!
③資産価値が高いマンションを購入できる
マンションの管理状況を把握できる制度を活用する3つ目のメリットは、「資産価値が高いマンションを購入できる」点です。
というのも、これまでマンションは管理状況が不透明だったことから、
- 立地(駅からの距離や災害リスク)
- 築年数
- 分譲会社や施工会社
- 管理会社のブランド
などで資産価値を判断されるケースが多くありました。
しかし、今後は新しい制度が活用されることで、
- 管理基準が明確になり
- 外部の人が管理状態を見て
- 購入するかどうかを判断できる
ようになります。
つまり、管理状況が良い中古マンションは、これまで以上に資産価値が高くなるのです。
「長く住む」「いざという時に売りやすい」のどちらの点を考えても、良好な管理状態のマンションを購入するメリットは大きいと言えるでしょう。
結論:マンションを購入するなら新制度で管理状態を見抜こう!
では最後に、マンションを購入する上で重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
マンションを購入する際は、住んだ後のことを長期的に考えて管理状態を事前に把握するのが重要です。
特に、2021年~2022年に改定・新設される
- 長期修繕計画作成ガイドライン
- 管理計画認定制度
- マンション管理適正評価制度
の3つの制度は、購入時にマンションの管理状況を判断する良い指標になります。
上記の制度を活用することで、
- 良好な管理状態のマンションを購入しやすくなる
- 購入時だけ安い管理費や修繕積立金に騙されにくくなる
- 資産価値が高いマンションを購入できる
といった3つのメリットが得られるので、「マンション購入を考えている方」や「すでにマンションを購入した方」はぜひ参考にしましょう!
以上、今回は「マンションを購入するなら管理を買え」を行う実践的な方法についてお話しました。
まだ、これから実施される予定の制度もあるので、家探しをする方は情報を集めつつ上手に活用していきましょう。
自分で情報収集するのが苦手だという場合には、当事務所の『マイホーム購入支援パック』をご利用いただくことでFP視点でのアドバイスが可能になります。
まずは、初回無料のFP相談をご利用いただく方法もあるので、ご心配な場合にはお気軽にお問い合わせください!
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