2024年の制度改正にともない、NISA制度があらためて注目を集めていますね。
ところで、もし海外へ赴任することになったら今運用しているNISA口座はどうなるのでしょうか。
この記事では
- 海外へ転勤してもNISA口座を継続できるのか
- 継続できるとしたらどんな条件があるのか
- 海外赴任中におすすめの運用方法
を解説します。
海外赴任の決定後はただでさえばたばたするものです
可能性のある方は事前に知識を頭に入れておきましょう
土屋 剛(つちや ごう)
- 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
- 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
- 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
NISAは日本に住んでいる人のための制度
NISA口座を開設できるのは「日本国内に住む18歳以上」の人です。
証券会社をはじめ銀行や郵便局といった金融機関で、1人1口座を開設できます。
NISA口座についてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧くださいね。
ということは、
海外に赴任することになったらNISAは継続できないのでしょうか…
いくつかポイントがありますよ!
順番に説明します
赴任期間が1年以上かどうかが最初のカギ
海外転勤が決まって日本を離れることになったら、NISAは継続できないのでしょうか。
実は海外に転勤になっても、赴任期間が1年未満であれば「日本に住んでいる人」とみなされます。
役員や使用人が海外の支店などに1年以上の予定で転勤した場合には、一般的には所得税法でいう非居住者、1年未満であれば居住者になります。
No.2517 海外に転勤する人の年末調整と転勤後の源泉徴収|国税庁
居住者とは、簡単にいうと生活の中心が日本にある人のことです。
居住者 / 非居住者の分かれ目は海外赴任期間が1年未満かどうか
これが最初の判断ポイントです。
赴任期間が1年未満の場合
海外転勤になっても、赴任期間が1年未満であれば「居住者」のままでいられます。
したがってNISA口座も問題なく継続できます。
赴任期間が1年以上の場合
一方海外での赴任期間が1年以上となると居住者の条件を満たさなくなり、非居住者となるため注意が必要です。
原則としてお住まいの地域の自治体に転出の届出しなければならず、住民票も日本になくなります。
じゃあ、1年以上海外に住むことになったらNISAも継続できなくなるんですね…
そうとも限りませんよ。
もうすこし深掘りしてみましょう
海外赴任期間が1年以上の場合は5年を超えるかがポイント
赴任期間が1年以上となる場合は、さらに5年を超えるかどうかでNISA口座の扱いが変わってきます。
実は2019年におこなわれた制度改正により、
海外転勤で一時的に日本を離れる場合でも、最長5年までNISA口座を継続できるようになりました。
ただし必要な手続きや制限が発生します。
- 赴任期間が1年以上5年以内の場合
- 赴任期間が5年を超える場合
で、それぞれ整理してみましょう。
赴任期間が1年以上5年以内の場合
赴任期間が5年以内であれば、手続きによってNISA口座を維持できます。
手続きの内容と抑えておきたいポイントを説明します。
必要な手続き
出国前と帰国後にそれぞれ書類を提出します。
出国前 | 帰国後 | |
---|---|---|
書類名 | (非課税口座)継続適用届出書 | (非課税口座)帰国届出書 |
提出期限 | 出国日の前日まで | (非課税口座)継続適用届出書の提出後 5年が経過する年の年末まで |
提出先 | NISA口座を開設している金融機関 |
例として
2024年2月1日に海外転勤で出国し、2029年1月に帰国する場合を考えてみましょう。
この場合は
- (非課税口座)継続適用届出書を2024年1月31日までに提出し
- (非課税口座)帰国届出書を2029年12月31日までに提出すれば
NISA口座を維持できます。
もし帰国届出書を期間内に提出しなければNISA口座は廃止され、
NISA口座で保有・運用している投資信託などは課税口座へ払い出されます。
海外赴任中のNISA口座の注意点
5年以内の海外転勤であれば手続きによってNISA口座を維持できるとわかりましたね。
しかし取引の内容はかなり制限されてしまいます。
原則として、海外赴任中は新しい買付ができません。
つまり積立投資をしている場合、日本を離れているあいだは積み立てがストップします。
さらに、こうした制限は証券会社によっても異なります。
たしかに5年以内の海外赴任であればNISA口座を維持できるように制度は改正されましたが、制度に対応するかどうかは各金融機関の判断に委ねられているためです。
制度上はNISA口座を維持できるものの、
実際のところはNISA口座を解約し、持っている資産も売却しなければならない
とする金融機関が残念ながら少なくありません。
必ずNISA口座を開設している金融機関の対応を確認してくださいね
赴任期間が5年を超える場合
海外赴任の期間が5年を超える場合、あるいは帰国届出書を所定の期間内に提出しなかった場合、NISA口座は廃止となります。
とはいえ、資産がなくなるわけではないので安心してくださいね。
NISA口座で保有している投資信託や株式は課税口座に移されるということです。
非課税の適用は受けられなくなりますが、持っている資産は維持できます。
手続きをせずに出国したらどうなる?
実際のところNISA口座をそのまま現状維持できるのは赴任期間が1年未満の場合のみです。
海外赴任が1年以上となる場合は、5年以内であれば制度上はNISA口座を維持できますが、あくまで制度上の話。
実情は多くの金融機関でNISA口座を解約せざるをえません。
この際、手続きせずにこっそり出国したらばれるのかな…
もしも所定の手続きをせずにNISA口座を維持したまま出国したとしても、ばれない可能性はあります。
しかし市区町村に転出届を提出し、住民票がなくなっている以上、証券会社からの書類が届きませんよね。
こうして日本に住所がないことが発覚すれば、口座が凍結されるといったおそれがあります。
海外赴任中におすすめの運用方法
せっかくNISAでつみたてを始めたのに、
海外転勤になったら継続はかなり厳しそうですね…
帰国するまで資産運用はできないんでしょうか
ないとも言い切れませんよ!
海外に住んでいることを逆手に取りましょう!
長期の海外赴任で赴任先が先進国なら、赴任先の国で投資信託などを購入するのもひとつの手です。
生活を営むうえで現地の通貨も使うでしょうから、日本円ではなく外貨での運用を考えてみましょう。
なお現地で取引をおこなう場合、今度は帰国後に取引をしづらくなります。
帰国時には手じまいするか、オンライン取引が可能かどうかを取引先の金融機関に確認しましょう。
参考:海外赴任でiDeCoはどうなる?
公的年金にプラスして自分で年金をつくれるiDeCo。
海外転勤になったとき、iDeCoはどうなるのでしょうか。
こちらはNISAよりも条件が緩く、海外赴任になった場合は次のどちらかに該当すれば引き続きiDeCoに加入できます。
- 厚生年金被保険者のまま海外転勤する
- 国民年金に任意加入する
1は今勤めている日本の会社と雇用関係が継続し、厚生年金への加入を維持しつづけるパターンです。
2は雇用関係が海外の会社に変わるパターンです。
日本の厚生年金に加入できないため、国民年金への任意加入によってiDeCoを継続できます。
5年以内の海外転勤ならNISAを継続できるが対策は必要
海外転勤になった際、NISAを維持できるかどうかは赴任期間とNISA口座のある金融機関次第です。
制度上は5年以内の海外赴任であればNISA口座を維持できるルールですが、多くの金融機関が対応できていないのが現状です。
簡単にまとめると
- 1年未満の海外赴任なら問題なく継続できる
- 1年以上の海外赴任はNISA以外の運用方法を検討
先進国への赴任であれば、赴任先で投資信託を買ってみるなどNISAに頼らない代替策を考えておくと良いでしょう。
海外赴任中の資産形成は制限が多くハードルが上がります。
弊所でもご相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせくださいね!
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