最近ニュースで、「悪い円安」という文字をよく見かけますよね。
なるほど、めちゃくちゃ円安が進行しているのか。
円安のせいで、家計に悪影響が出るっぽいけど大丈夫かな?
とは思うものの、ぶっちゃけたところ…
- 悪い円安って何?普通の円安と何が違うの?
- そもそも円安と円高の違いもよくわからないけど、消費者に影響あるの?
ってなりませんか?
実際にニュースでは、時間内に伝えることを優先しているので、
- 金融緩和
- 利上げ
- マイナス金利政策
- 日銀や日米がうんたらかんたら
などの専門用語がはさまれて、途中から聞き流してしまう方も多いと思います。
そこで本記事では、現役FP土屋が専門的な説明は極力省いて、消費者の方が最低限ここだけはおさえておきたいポイントを解説していきます。
- そもそも円安って何?円高との違い
- なぜ今、悪い円安と言われているの?2つの理由
- 悪い円安が止まらないのはなぜ?今後も加速する?
- 消費者ができる2つの悪い円安対策
本記事を読んで、円安が消費者のみなさんにどんな影響を与えるのかを知ってくださいね!
土屋 剛(つちや ごう)
- 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
- 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
- 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
そもそも円安って何?円高との違いも解説
そもそも円安・円高とは、他国の通貨と比べたときの日本円の価値を表す言葉です。
- 円安:他国の通貨と比べて、日本円の価値が低い状態
- 円高:他国の通貨と比べて、日本円の価値が高い状態
なるほど!円安と円高の違いはわかったよ。
ちなみに、円安と円高だったら、どっちのほうが日本にとってプラスなの?
円安と円高のどちらが日本にとってプラスなのかは、専門家の間でも答えが出ていません。
なぜなら、以下のように影響を受ける人によってメリット・デメリットが異なるからです。
円安と円高の比較
影響を受ける人 | 円安のとき | 円高のとき |
---|---|---|
消費者 | 輸入品が高くなるので物価が上がり、家計負担が増える 海外旅行や留学費用が高くなる 海外資産の価値が上がる | 輸入品が安くなるので物価が下がり、家計負担が減る 海外旅行や留学費用が安くなる 海外資産の価値が下がる |
企業や国 | 輸出で儲かりやすくなる 海外旅行客が増加する | 輸出で儲かりにくくなる 海外旅行客が減少する |
- 円安は、消費者にとってはマイナス・企業や国にとってはプラスな面が多い
- 円高は、消費者にとってはプラス・企業や国にとってはマイナスな面が多い
それなら、最近なんで”悪い円安”ってニュースで言われてるの?
良い質問ですね!
悪い円安と言われる理由はいくつかあるので、この次に詳しく説明していきますね。
なぜ今、悪い円安と言われているの?2つの理由
現在”悪い円安”と言われている理由には、
- 円安が急激に進行して、消費者への悪影響が強く出ている
- 企業や国が円安メリットを感じにくい状態になっている
の2つが大きく関係しています。
それぞれどういうことかお話していきますね。
①円安が急激に進行して、消費者への悪影響が強く出ている
今、”悪い円安”と言われている理由の1つ目は、「円安が急激に進行して、消費者への悪影響が強く出ている」です。
2022年6月8日には1ドル=134円台となり、20年ぶりの円安水準になりました。
円安が急速に進むと、
- 日本円の価値が一気に落ちて
- 輸入品の価格も急激に上昇
します。
日本は輸入大国なので、その影響を思いっきり受けて物価が急上昇する原因になってしまうのです。
わかりやすいところでいうと、円安の影響で日本でも人気のMAC製品も、新商品や現行モデルの価格が値上げされてニュースになっていました。
値上げの一例
- MacBook Airの新作が、前モデル11万5280円→16万4800円に値上げ
- MacBook Pro 14インチは、スタート価格が23万9800円→27万4800円に値上げ
また今は、円安以外にもコロナやウクライナ情勢で資源不足が重なり、通常よりも物価が上昇しています。
そのため、急激な円安は「さらに日本の消費者の家計を圧迫させる原因=悪い円安」になっているのです。
②企業や国が円安メリットを感じにくい状態になっている
今、”悪い円安”と言われている理由の2つ目は、「企業や国が円安メリットを感じにくい状態になっている」です。
かつて円安は、海外でモノを売るのに有利な状況で、
- 円安になる
- 安い日本製が売れやすくなり、輸出が増える
- 輸出商品の生産が増える
- 日本の輸出産業が盛り上がり、雇用も増える
という、企業をはじめとする日本経済全体に良い循環を生むものでした。
しかし、ここ10年ほどの間に日本企業が生産拠点を海外に移してきた影響で、
- 海外生産の影響で、資源や人材費が高くて安く売りにくい
- 生産量が増えても、日本の雇用が増えない
などの傾向があり、昔ほどは円安メリットを活かせなくなっているのです。
また、現在はコロナによる規制の影響で、本来円安で呼び込めるはずの外国人観光客も減少中。
インバウンド(外国人が日本に観光をしにくること)による利益も得にくい状況になっています。
そのため、今回は円安による良い面も活かしにくくなっており、悪い円安といった見方が強まっているのです。
では次に、悪い円安が加速している理由や今後の見通しについてお話していきます。
悪い円安が止まらないのはなぜ?今後も加速する?
悪い円安が止まらない理由は、日本とアメリカの金利差が拡大しているからです。
日本は低金利が続いている一方で、アメリカは金利を急速に上げています。
そうすると、
- 日本株を持ってても利益を得にくくなる
- 日本株を売ってドル株を買う人が増える
- 円安が進行してしまう
といった状態になってしまうのです。
それなら日本もアメリカみたいに金利を上げて、金利差を縮めれば円安の進行を止められるんじゃないの?
実は、そう簡単な話ではないのです。
不景気な状態で金利を上げてしまうと、お金を借りにくくなります。
そうすると、商売がしにくくなったり家や車を買いにくくなるので、より経済が停滞して不景気になってしまうんです。
でもアメリカは、金利を上げられてるよね?なんで??
実は物価上昇率を見てみると、日本とアメリカでは景気に大きな差があることがわかります。
つまり、アメリカは金利を上げられる景気である一方で、日本は不景気で金利を上げたくても上げられない状態なんです。
2022年の物価上昇率の比較|経済協力開発機構(OECD)
OECD加盟国の平均 | 8.5% |
アメリカ | 5.9% |
日本 | 1.9% |
なるほど。じゃあ、これからも円安は加速していくってこと?
それは、専門家にもわかりません。
これまで他記事でも伝えてきたように、経済は社会的背景(戦争や感染症など)や世界各国の景気などと複雑に絡み合っています。
どのように動くかは、誰にも予測できないんです。
そんな!
じゃあ、消費者はこのまま円安で家計が圧迫され続けても、ただ耐えなきゃいけないってこと?
そうではありません!
この後に紹介する対策を実践していただければ、円安リスクは減らすことが可能です。
消費者ができる2つの悪い円安対策
このまま悪い円安が続いた場合にできる消費者の対策は、大きく分けて以下の2つです。
- 資産を円だけで持たない
- リスクが高い投資は避ける
それぞれ、どういうことかお話していきますね。
①資産を円だけで持たない
消費者ができる悪い円安対策1つ目は、「資産を円だけで持たない」です。
これまで紹介したとおり、円安とは他国の通貨と比べて、日本円の価値が低くなっている状態です。
つまり、日本で現金・貯金(銀行預金)に資産を集中させてしまうと、
- 円安やインフレで資産が目減りしてしまう
- 円安やインフレに伴う生活費の負担増を、許容できなくなってしまう
といった問題が起きてしまうのです。
一方で、資産の一部を外貨建て(海外資産)にすることで、こういった円安やインフレのリスクから資産を守れるようになります。
②リスクが高い投資は避ける
消費者ができる悪い円安対策2つ目は、「リスクが高い投資は避ける」です。
例えば、
円安だし海外通貨の価値が上がってるから、資産のほとんどを外貨建てにしちゃえ!
というのはおすすめしません。
なぜなら、今は新型コロナやウクライナ侵攻など、社会問題も経済に大きく絡み合っており、先行きが特に見えにくくなっている時期だからです。
つまり、現時点では円安でも、いつこの状態がひっくり返るかわかりません。
そのため、正しくリスクを取るためにも、どこかに資産を一極集中するのは避けたほうが良いのです。
そういった意味で、社会や経済が不安定な今は、
- 短期的なタイミングで株の売買を行う
- 個別の株にすべての投資資産をつぎ込む
- 一度にすべての投資資金を使ってしまう
は避けて、「長期・分散・継続」を意識したリスクの低い積立投資を行うのが賢明です。
また、実際にどのくらいの配分で資産を外貨建てにすればよいかは、ご家庭の家計状況によって異なります。
もう少し詳しく話が聞きたいという場合には、FP相談で個別にアドバイスできますのでお声がけください。
結論:消費者の”悪い円安”対策は「資産分散」が鍵
それでは最後に、「悪い円安」について重要なポイントを簡単にお話していきます。
円安や円高とは、以下のように他国の通貨と比べたときの日本円の価値を表す言葉のことです。
- 円安:他国の通貨と比べて、日本円の価値が低い状態
- 円高:他国の通貨と比べて、日本円の価値が高い状態
円安と円高にはどちらにもメリット・デメリットがありますが、現在は
- 円安が急激に進行して、消費者への悪影響が強く出ている
- 企業や国が円安メリットを感じにくい状態になっている
といった理由から、悪い円安だと考える人が増えています。
ただし、今後も円安が続くかどうかは誰にもわかりません。
そのため、消費者はリスクを極力下げるために、
- 資産を円だけで持たない
- リスクが高い投資は避ける
の2つを意識して、資産分散をするのがおすすめです。
以上、今回はニュースでも取り上げられている「悪い円安」についてお話しました。
現在は、日本を含む世界各国でこれまでにない大きな変化が訪れています。
従来の「稼ぐ→貯金する」だけでは、資産形成がうまくいかなくなってきているので、ぜひ根本的な家計の見直しを行ってみましょう。
もちろんアドバイスが必要な場合には、FP視点でサポートすることも可能です。
お困りの際は、お気軽にお声がけください^^
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