少しでも良い環境で勉強させてあげたい!
子供の個性を伸ばす教育を受けさせてあげたい。
などを考えたときに、中高一貫校(私立中学)への進学を検討したことはありませんか?
実際に「公立中学の評判」や「私立中学に通うお子さまがいるご家庭の話」を聞いて、このまま公立中学に入学させて良いのか迷ってしまう人も多いはずです。
とはいえ、公立と私立では異なるポイントが多いですし、教育費の負担も大きく変わってくるので簡単には決められませんよね。
そこで本記事では、個別世帯700件以上のお金の相談を受けてきたFP土屋が
の順に、中学から私立に行くことを検討する上で知っておくと役立つ情報を紹介していきます。
公立と私立でどのくらい教育費の差が出るのかについても、『②経済的負担が中学~高校で約2.5倍になる』で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてくださいね!
土屋 剛(つちや ごう)
- 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
- 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
- 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
中学から私立に行く5つのメリット
中学から私立に行くメリットは、大きくわけて
- 教育方針が確立されており、サポートが手厚い
- 設備や環境が整っている
- 大学受験に有利な中高一貫カリキュラム
- 高校からは入れない学校に入学できる
- 部活動や習い事に集中しやすくなる
の5つです。
それぞれどういうことか、説明していきますね!
①教育方針が確立されており、サポートが手厚い
中学から私立に行く1つ目のメリットは、「教育方針が確立されており、サポートが手厚い」点です。
私立中学の教育方針には、
- 創立者の思想
- 明確な教育理念
が反映されています。
そのため、
- 中高ともに制服なしの自由な校風の学校に通いたい
- グローバルな人材になれる勉強がしたい
などの「希望を叶える環境」を親子で事前に選んでから入学できます。
さらに私立は先生の異動がほとんどないので、一定の質を保った先生に長期的かつ安定的にサポートしてもらえる可能性が高いのです。
一方で、公立中学は基本的に自宅から近い学校に通います。
また、先生たちは市区町村から配属され、一定期間を過ぎると転勤しなければなりません。
つまり、
- 地域の雰囲気
- そのとき在籍している先生
によって、学校の様子が大きく変わってしまうため、時期によってアタリ・ハズレが出やすいのです。
学ぶ環境を自分で選べるのは、私立の大きなアドバンテージと言えますね!
②設備や環境が整っている
中学から私立に行く2つ目のメリットは、「設備や環境が整っている」点です。
具体的には、
- すべての部屋に冷暖房設備が整っている
- 電子黒板やタブレットを活用したIT授業が活発
- 複数のグラウンドや温水プールなどの運動設備がある
など、快適な学習環境が用意されているケースが多くなります。
一方で、公立中学ではIT機器の活用が少なく、自粛期間中のオンライン授業への以降がスムーズに進まないなどのトラブルが多発しました。
また、普通教室の冷暖房設置率は92.8%※と公立中学でも状況は改善してきていますが、学校全体の冷暖房設置率を見ると
- 特別教室:55.5%
- 体育館等:5.3%
のように、まだまだ厳しい環境下で授業を受けている子供が多いことがわかります。
公立中学は、近年の気候変動やIT技術などの変化についていけていない点が目立ちます。
より快適な環境で学んでほしい場合には、やはり私立を選ぶメリットが大きくなるでしょう。
③大学受験に有利な中高一貫カリキュラム
中学から私立に行く3つ目のメリットは、「大学受験に有利な中高一貫カリキュラム」がある点です。
私立中学はほとんどの場合中高一貫校になっており、高校受験がありません。
そのため、中学入学~高校卒業までの6年間、大学入試を見据えた合理的なカリキュラムを設定している学校が多いのです。
実際に2020年からの大学入試改革で、これまでの公立高校の授業だけでは大学入試問題を解くのが難しくなっています。
最新の大学入試を見据えた効率的な授業を受けるためには、中学から私立に入学する必要性が高いと言えるでしょう。
④高校からは入れない学校に入学できる
中学から私立に行く4つ目のメリットは、「高校からは入れない学校に入学できる」点です。
最近では、
- 先述した大学入試改革
- 大学定員数の縮小
- 有名大での定員抑制
の影響で私立校では、大学入学を見据えた授業を早いうちからすべての生徒に行うために、高校からの生徒募集を停止する学校が増えています。
そのため、有名大学への入学を希望する場合には、特に中学から私立に行くメリットが大きくなっているのです。
⑤部活動や習い事に集中しやすくなる
中学から私立に行く5つ目のメリットは、「部活動や習い事に集中しやすくなる」点です。
ここまで紹介したとおり、私立中学は中高一貫校が多く高校受験がありません。
そのため、大学受験までの6年間は公立校よりも部活動や習い事に集中する時間を取りやすくなっているのです。
さらに、部活動については外部から専任コーチが来ているため、より質の高い練習ができる学校が多くなります。
勉強以外の時間も充実させたいと考えているご家庭には、私立中学を選ぶメリットが大きいと言えるでしょう。
では次に、中学から私立に行くデメリットを紹介していきます。
中学から私立に行く5つのデメリット
中学から私立に行くデメリットは大きく分けて、
- 中学受験のための学習負担が大きい
- 経済的負担が中学~高校で約2.5倍になる
- 進学後の学力差による中だるみや落ちこぼれの恐れ
- 6年間は環境を変えるのが難しくなる
- 電車やバスでの通学が必要になる可能性が高い
の5つです。
一つひとつどういうことか説明していきますね!
①中学受験のための学習負担が大きい
中学から私立に行く1つ目のデメリットは、「中学受験のための学習負担が大きい」点です。
というのも、
- 中学受験をする小学6年生は、関東で全体の約2割
- 第一志望に合格するのは約3割
と言われています。
つまり、逆に言い換えれば、
- 関東に住んでいる場合は、約8割の同級生が中学受験をしない中で
- 約7割は第一志望に落ちる可能性を持つ試験に
小学6年生の子供が挑まなければなりません。
実際に、
他の子が遊んでいる時間も勉強しなければならないのが辛かった
受験までのスケジュールを把握して、親がサポートするのが大変だった
などの体験談も多く、中学受験は親も子も学習負担が大きいことがわかっています。
小学校高学年は心理面での成長も著しく、中学受験を目指す中でメンタルケアが必要になる場面も多いです。
子供のモチベーションを維持するのは大変なので、必ず本人の意向も大切にしてあげましょう!
②経済的負担が中学~高校で約2.5倍になる
中学から私立に行く2つ目のデメリットは、「経済的負担が中学~高校で約2.5倍になる」点です。
公立と私立の教育費の違い(中学)
公立 | 私立 | |
---|---|---|
月額 | 4.1万円 | 11.7万円 |
総額(3年間) | 147万円 | 422万円 |
公立と私立の教育費の違い(高校)
公立 | 公立 | |
---|---|---|
月額 | 3.8万円 | 8.1万円 |
総額(3年間) | 137万円 | 291万円 |
6年間の教育費の違い(中学~高校)
公立 | 私立 | |
---|---|---|
総額(6年間) | 284万円 | 713万円 |
- 1:100円以下は四捨五入
- 2:上記の金額はあくまでも目安です。詳しい費用は、お住まいの自治体や世帯年収によって大きく異なります。
- 3:出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」
- 4:私立高校は無償化対象外の世帯の場合
FP視点でみると、この経済的負担が最大のデメリットとも言えます。
なぜなら、ライフプランを立てずに私立を選んでしまうと、1番学費がかかる大学入学の頃に教育費破産してしまう家庭もあるからです。
「子供にできるだけのことをしてあげたい」という気持ちは、もちろん親として当然のことだと思います。
しかし、
- 自分の教育費が原因で家計が破綻したり
- 親の老後資金が不足してしまったり
するのは、お子さまも幸せとは言えません。
想いだけで突き進むのではなく、まずは現実的に中学から子供を私立に入れることが可能なのか長期目線で考えてみましょう!
もしご自身だけで考えるのが難しい場合には、ぜひFP相談をご利用ください。
長期的なライフプランをシュミレーションした上で、家族全員が納得できる進学プランを見つけるお手伝いをできたらと思います。
③進学後の学力差による中だるみや落ちこぼれの恐れ
中学から私立に行く3つ目のデメリットは、「進学後の学力差による中だるみや落ちこぼれの恐れ」がある点です。
中学から私立に行き、中高一貫校に通う場合には高校受験がありません。
しかし、一定水準以上の学力を持った生徒が揃っているため、公立校に比べて
- 学習スピードが早く
- 難易度が高い
授業が行われているケースが多いです。
つまり、中学受験では無理をして受かっても、
- 受験後の燃え尽き症候群
- 進学後に実力が足りない
などが理由で授業についていけなくなる可能性があります。
私立は公立とは異なり、同じくらいの学力を持った生徒と競う必要があります。
公立では「勉強ができているタイプ」の子も、思うような結果が出ず進学後のやる気を維持できなくなるケースが多いので注意しましょう。
④6年間は環境を変えるのが難しくなる
中学から私立に行く4つ目のデメリットは、「6年間は環境を変えるのが難しくなる」点です。
公立・私立関係なく、どんなに良い環境でも子供と相性が合わない可能性があります。
その場合も、中高一貫校であれば6年間は
- 先生も
- 友達も
大きな変化がない中で生活しなければなりません。
公立のように、「中学は合わなかったけど、高校から楽しくなった」など切り替えるタイミングがないのが私立の大きな欠点だと言えます。
私立に行ったからといって、子供が学校を楽しめるという保証はありません。
中高一貫校の分、相性が合わないときに環境を変える難しさがあることも知っておきましょう。
⑤電車やバスでの通学が必要になる可能性が高い
中学から私立に行く5つ目のデメリットは、「電車やバスでの通学が必要になる可能性が高い」点です。
公立校の大きなメリットは、家から近い学校が多いところになります。
一方で、私立は環境や教育方針を重視して選ぶと、どうしても家の近くに通いたい学校がないケースも多いです。
実際に、私立の場合には通学に1時間前後かかる生徒が多くなっています。
通学に時間がかかるようになると、
- 交通費が別途かかる
- 通学ルートによっては、満員電車に疲れてしまう
- 放課後の活動を楽しむ時間がない
- 家庭学習に使える時間が少ない
- 朝が早くなるため親の睡眠時間も削られる
- 帰宅が遅いときに、最寄り駅まで迎えに行く必要がある
などの様々なデメリットが発生します。
中高一貫校の場合は、6年間も遠距離通学をしなければならない可能性があります。
学校選びは慎重に行いましょう!
では次に、中学受験をするか迷った際におすすめの本を2冊紹介していきます。
中学受験をするか迷ったら読みたい必読本2選
中学受験をするか迷った際には、ぜひ以下の2冊を読んでみてください。
「二月の勝者―絶対合格の教室―」は、中学受験をサポートする進学塾を舞台にした人気漫画で、日テレで2021年10月からテレビドラマ化されています。
- 中学受験のリアルな様子
- 中学受験をする子供や親の心情
- 進学塾の仕組みや大手塾のビジネススタイル
など、わかりやすく楽しんで情報収集できるので、親子で読みたい1冊だと言えるでしょう。
「教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール 改訂版」は、中学受験だけではなく子育てにかかる全体費用を細かく解説してくれています。
進学プラン別の教育費のシュミレーションも掲載されているので、様々な家計パターンを参考にしたい方におすすめです。
本を読むことで、中学受験や私立から中学に行く生活の大まかな全体像を把握できるようになります。
中学から私立に行くか迷った場合には、ぜひご一読くださいね!
結論:中学から私立に行くなら、ライフプランを立てて計画的に動こう!
それでは最後に、中学から私立に行く場合の重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
中学から私立に行くメリットは、大きくわけて
- 教育方針が確立されており、サポートが手厚い
- 設備や環境が整っている
- 大学受験に有利な中高一貫カリキュラム
- 高校からは入れない学校に入学できる
- 部活動や習い事に集中しやすくなる
の5つです。
一方で、
- 中学受験のための学習負担が大きい
- 経済的負担が中学~高校で約2.5倍になる
- 進学後の学力差による中だるみや落ちこぼれの恐れ
- 6年間は環境を変えるのが難しくなる
- 電車やバスでの通学が必要になる可能性が高い
といったデメリットもあります。
そのため、想いだけで突き進むのではなく、まずは現実的かつ計画的に進学プランを考える必要性が高いです。
中学受験や教育費についてわからない点が多い場合には、
- 二月の勝者 ―絶対合格の教室―
- 教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール 改訂版
の2冊の本を読むと、中学受験や私立でかかるお金のリアルな情報を得られます。
以上、今回は中学から私立に行くメリット・デメリットについてお話しました。
子供の進学プランとお金の話は、切っても切り離せません。
教育費については現在の年収だけでは判断できない部分も多いです。
「我が家の場合、家計的に私立に通わせられるのか知りたい」という場合にはぜひご相談ください。
様々な視点から、長期的に問題がないか否かをFP視点でアドバイスさせていただければと思います^^
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