終活は何歳から?30代が意欲的な理由や具体的なやり方をFPが解説

終活は何歳から?30代が意欲的な理由や具体的なやり方をFPが解説

終活とは、「人生の終わりを迎えるための様々な準備・活動」の略です。

2035年頃には、日本人口の約1/3を65歳以上の高齢者が占めます。

そういった少子高齢化の流れを受けて、

  • 残された少数の若年層に
  • 入院・介護・死後の後始末で
  • 迷惑がかからないようにしたい

と考える人が増え、社会現象として近年”終活”が広まりをみせているのです。

とはいえ、現役子育て世代の中には、

マネ美

まだ、若いから私達には関係ないことよね!

と感じる方も多くいます。

しかし、実は『リサーチデータ(2019年)終活に関する調査|楽天インサイト』によれば、終活への意向が最も高いのは”30代”だということがわかっているのです。

そこで本記事では、そんな若い世代からも注目されている終活について、

  1. 終活は何歳から?30代が終活に意欲的な理由
  2. 終活は何歳から何を具体的にやる?7つのポイント
  3. 終活と合わせて行いたいライフプランの作成とは?

の順に、相続相談にも乗っているFP視点で徹底解説してみました。

土屋剛(FP)

では、さっそく本文に移っていきましょう!

執筆・監修者

土屋 剛(つちや ごう)

  • 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
  • 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
  • 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
FP土屋
もくじ

終活は何歳から?30代が終活に意欲的な理由

終活は何歳から?30代が終活に意欲的な理由

結論からお伝えすると、終活は体が元気な65歳までに行っておくのが理想的です。

ただし、上記はあくまでも終活を何歳までに行ったほうが良いかというお話です。

年齢関係なくいつ何が起こるかは誰にもわからないので、早め早めに終活をスタートさせるのが成功させるポイントになります。

実際に30代では、

  • 残された家族に迷惑をかけたくない
  • 自分の人生の終わり方は自分で決めたい
  • 病気やケガ、介護生活で寝たきりになった場合に備えたい

という理由※から、早め早めに終活を意識し始める人が増えています。

マネ美

とはいっても、ライフスタイルはどんどん変化していくものよね?

あまりに早く終活しても無駄にならない?

土屋剛(FP)

そうですね。そのあたりの考え方は人によって変わってきます。

ですので、まずはこの後に説明する『終活を早くから行うメリット・デメリット』を参考に、ご自身の終活タイミングを検討してみてください!

終活を早くから行う5つのメリット

終活を早くから行うメリットは、大きく分けて以下の5つです。

終活を早くから行うメリット
  1. 万が一のときに家族に負担をかけずに済む
  2. 自分の人生の終わり方を自分で決められる
  3. 「死」を意識することで、「人生の目標」を決めやすくなる
  4. 生活設計を見つめ直して、長期目線で資金計画を立てられるようになる
  5. 老後への不安を具体的な行動で軽減していくことができる

終活を行うためには、

  • 現在の資産状況や加入保険の把握
  • 告知・延命措置についての希望確認
  • 介護や老後の住居についての希望確認
  • 葬儀についての希望確認
  • お墓についての希望確認
  • 残されたペットの処遇についての希望確認

などを行い、「どう生きて」「どのように終わりたいか」を自分自身に問わなければなりません。

つまり、終活によって「死(終わり)」を意識することで「自分の生き方に本当に必要なもの・不要なもの」が分かるようになるケースが多いのです。

土屋剛(FP)

そういった意味で終活は年齢関係なく早くから始めることで、自分の残りの人生を充実させる良きツールになります!

終活を早くから行う3つのデメリット

終活を早くから行うデメリットは、以下の3つです。

終活を早くから行うデメリット
  1. 親族から縁起が悪いと嫌な顔をされる
  2. 思ったよりも終活内容が多くめんどくさい
  3. ライフイベントや年代に合わせて都度修正する必要がある

第一に、若いうちから「老後」や「死」について考えることを周りにネガティブに捉えられてしまうケースがあります。

終活をする目的やメリットを説明し、家族と気持ちのすれ違いが起きないようにする必要があるでしょう。

第二に、終活では先程も説明したとおり、

  • 現在の資産状況や加入保険の把握
  • 告知・延命措置について
  • 介護や老後の住居について
  • 葬儀について
  • お墓について
  • 残されたペットの処遇について

などの確認作業が多岐にわたります。

最初から気合いを入れてすべて取り掛かろうとすると、挫折する可能性が高いのです。

そのため、この後に紹介する『終活は何歳から何を具体的にやる?7つのポイント』を参考に、年代に合わせて必要だなと感じる終活のみを厳選して行うのがおすすめでしょう。

第三に、終活はそのときの状態や年代に合わせて希望が変わるケースが多いです。

そのため、大体3年~5年に1度くらいは希望した終活内容と現在の状況が変わっていないかを再確認しておく必要があります。

土屋剛(FP)

では次に、終活を進める上で重要な注意点についてお話していきます。

終活する上での注意点

終活をする上での最も大切な注意点は、「終活は家族や大切な人と一緒に行う」です。

1人で終活を進めても、残された家族がその事実を知らなければ、あなたの希望は家族に届くことはありません。

また、あなたの希望する終活内容を家族が叶えられるかどうかを事前確認しておく必要がああるのです。

自分が亡くなったときの話を家族とするのは、抵抗があるかもしれません。

しかし、本当の意味で万が一のときに残された家族や大切な人に迷惑をかけないためにも、終活を進める際は”情報共有をする意識を忘れずに持つようにしましょう!

土屋剛(FP)

では次に、終活は何歳から何をやるのがおすすめなのか具体的に紹介していきます。

終活は何歳から何を具体的にやる?7つのポイント

終活は何歳から何を具体的にやる?7つのポイント

終活は何歳から何を具体的にやればいいか迷った場合には、ぜひ以下の表を参考にしてみてください。

終活内容とおすすめの年代

終活の内容おすすめの年代
①エンディングノートの作成全世代におすすめ
②告知・延命措置の確認全世代におすすめ
③介護や老後住居の確認全世代におすすめ
④葬儀やお墓の確認全世代におすすめ
⑤遺言書の作成40代・50代からおすすめ
⑥生前整理60代からおすすめ
⑦残されたペットの処遇確認成人した同居人がいない方におすすめ
マネ太

思ったより、何歳からでもOKな終活が多いんですね!

土屋剛(FP)

そうですね。

終活と聞くと高齢者をイメージされる方が多いのですが、むしろ年代関係なく始められるものが多いんです。

マネ美

なるほど!

でも、逆に多すぎて何をどうしたらいいのか迷っちゃうな…。

土屋剛(FP)

最初からすべての終活を完璧に終わらせる必要はありません。

この次に一つひとつの終活内容を詳しく説明していくので、気になったものから始めていきましょう!

①エンディングノートの作成

第一に終活を始める際に、全年代に最もおすすめしたいのが「エンディングノートの作成」です。

エンディングノートとは、もしもの時に備えて必要な情報を記しておくノートのこと。

終活初心者にありがちな、

マネ太

終活ってなにをすればいいか、よくわからない

マネ美

確認しなきゃいけないことが多すぎて、頭の中で整理するのが難しい

といったお悩みを解決してくれる便利ツールになります。

自治体などで無料で配布してくれているケースもありますし、書店や文房具店などでも色々なタイプが販売されています。

土屋剛(FP)

これから終活をスタートする方は、ぜひエンディングノートの作成から始めてみましょう!

エンディングノートの注意点

エンディングノートは、遺言書とは異なり法的効力を持ちません。

相続関連で法的に有効な遺言書も一緒に作成したい場合には、遺言書付きのエンディングノートを選ぶのがおすすめでしょう。

おすすめのエンディングノート(遺言書なし)

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②告知・延命措置の確認

第二に終活をスタートしたら、全年代の方に進めていただきたいのが「告知・延命措置についてのご自身の希望確認」です。

具体的には、

  • 万が一の事態が起きて
  • あなた自身が判断するのが
  • 難しいときの対応

を決めておくことで、ご家族のいざという時の負担を減らせます。

告知・延命措置で確認しておきたい4つのこと
  1. あなたの治療方針について、誰の意見を尊重して進めてもらいたいか
  2. 告知が必要な場合は、告知してほしいか(余命や病名も教えてほしいか)
  3. 回復の見込みがないときの延命措置を希望するか
  4. 死後の臓器提供については、どのように考えているか

③介護や老後住居の確認

第三に、終活の一環として全年代の方が

  • 病気
  • 怪我
  • 認知症

などで、ご自身の判断能力が落ちたり、自分の意志を伝えるのが難しくなった際に、「介護や老後住居について」家族や大切な人にどうしてほしいかを考えておくのがおすすめです。

介護や老後住居で確認しておきたい5つのこと
  1. あなたの介護について、誰の意見を尊重して進めてもらいたいか
  2. 介護をお願いしたい場所や人はいるか(自宅で家族やヘルパーに、病院や施設でなど)
  3. 介護のための費用はどこから出すか(預金、保険、特に用意していないなど)
  4. 財産管理が難しいときは、誰に管理をお願いしたいか
  5. 介護してくれる人に伝えたいこと(遠慮せずプロの手を借りてくださいなど)

④葬儀やお墓の確認

第四に、葬儀やお墓についても終活の一環として全年代の方が事前確認しておくのがおすすめです。

ご自身の希望を生前に伝えておけば、いざという時のご家族の負担を減らし、心残りのない人生の終わり方を決められるでしょう。

葬儀で確認しておきたい5つのこと
  1. 葬儀の実施についての方向性(してほしいが、お金はかけないでほしいなど)
  2. 葬儀業者や会場の希望(頼みたい業者が決まっているか否か)
  3. 葬儀の流れの希望(火葬のみでいい、家族で密葬してほしいなど)
  4. 葬儀の費用をどこから出すか(預金、保険、特に用意していないなど)
  5. 遺影や棺に入れてほしいものについて(使ってほしい写真や入れてほしいものなど)
お墓で確認しておきたい2つのこと
  1. 希望するお墓・供養先はあるか(先祖代々の墓、散骨、樹木葬など)
  2. お墓の費用をどこから出すか(預金、保険、特に用意していないなど)

⑤遺言書の作成

第5にある程度ライフプランが固まってきている40代・50代の方は、終活の一環として「遺言書の作成」をおすすめします。

なぜなら、遺言書を残しておくことで

  • 相続人同士がモメることなく相続手続きができる
  • 相続手続きの負担が減る
  • 法定相続人以外の長男の妻、孫、内縁の妻などにも財産をあげられる

などのメリットがあるからです。

ちなみに、一般的に作成される遺言書の大半は

  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言

の2つになります。

土屋剛(FP)

それぞれのメリット・デメリットを比較して、ぜひ遺言書を作成してみましょう!

遺言書の種類別のメリット・デメリット

自筆証書遺言公正証書遺言
作成方法本人が全文を自筆で書く公証役場で公証人が作成する
保管方法自宅で保管原本は公証役場で保管される
メリット・費用があまりかからない
・自分で気軽に作成できる
・いつでも書き直しできる
・公証人が作成するので、不備がない
・原本が公証役場で保管されるので、紛失や改ざんリスクがない
・死後の検認手続きが不要
デメリット・ルールを守らずに書くと無効になる可能性がある
・紛失や改ざんリスクがある
・死後、検認手続きが必要
・作成する手間や費用がかかる
・気軽に書き直しできない
※手間や費用をかけたくない人は「自筆証書遺言」、確実性を求める人は「公正証書遺言」がおすすめ

⑥生前整理

第6に、60代からおすすめしたい終活が「生前整理」です。

生前整理とは、今風にいうと断捨離のことで、自分の死後に不要となる「品物」や「財産」を残された家族が困らないように整理しておくことを言います。

生前整理しておきたい品物
  • 思い出品(写真・日記・手紙・ご自身で制作した絵画や工芸品等)
  • 書籍やコレクション
  • パソコンやスマートフォンのデータ
  • 書類
  • 日用品 など

→生前に処分できるものはしておく

生前整理しておきたい財産
  • 金融資産(現金・預貯金・株式等)
  • 不動産(土地・建物)
  • 貴金属や美術品 など

→所有している財産を一覧にまとめた財産目録をつくる
→相続する資産と生前贈与する資産に分ける

生前贈与とは?

生前贈与とは、生前に個人から別の個人へ財産を無償で渡すことです。

主に、相続税の節税対策を目的として行われます。

ただし、適切に贈与しなければ、相続によって財産を取得するよりも税金の負担が重くなる可能性があります。

ご心配な場合は、税理士などの専門家に相談するのがおすすめでしょう。

⑦残されたペットの処遇について

第六に、

  • 現在ペットを飼われていて
  • 成人している同居人がいない場合

には、あなたに万が一の事態が起こった時のために、残されたペットの処遇を考えておく必要があります。

というのも、あなたの死後にペットの引き取り手がいない場合には、最終的に保健所行きになり殺処分されてしまう可能性もあるからです。

残されたペットの処遇で確認したい3つのこと
  1. 代わりにお世話してくれる人はいるのか(親族や友人など)
  2. 代わりにお世話しくれる人に支払う費用はあるのか(預金、保険、特に用意していないなど)
  3. お世話してくれる人が居ない場合はどうするのか(老犬ホームや老猫ホームへ預けるなど)

老犬ホームや老猫ホームとは?

人間の老人ホームと同様に、介護が必要になったシニア犬・シニア猫を預かりまたは譲り受け、お世話する施設のことです。

費用相場は、年間40万円~150万円前後で

  • 立地
  • 預かり期間(一時預かり、終身預かり)
  • 犬の場合は大きさ(小型犬、中型犬、大型犬)

によって、料金に差がつけられているケースが多くなります。

終活と合わせて行いたいライフプランの作成とは?

終活と合わせて行いたいライフプランの作成とは?

ここまで説明したように、終活には様々な確認が求められます。

その際に、

  • 現在の資産状況
  • 今後の資産の増減

を把握していないと、終活を進めるのが難しくなるケースが多いです。

ですので、特にライフスタイルの変化が激しい子育て世帯の方は、終活を効率的に進めるためにもライフプラン(人生計画)を作成しておくのがおすすめでしょう。

ライフプランの作成を行うことで、あなたとご家族の「現在」と「未来」の資産を見える化して資金計画を立てられるようになるので、

  • 万が一の事態が起こった時に
  • 入院、介護、葬儀等の費用を
  • どこから出せばいいのか

を決めやすくなります。

土屋剛(FP)

個人でライフプランの作成が難しい場合には、FP相談を活用する方法もあります。

お困りの際は、ぜひお声がけくださいね!

結論:終活を何歳からするか迷ったら早めがおすすめ!

それでは最後に、「終活」についての重要なポイントを簡単におさらいしていきます。

本記事のまとめ

終活は、体が元気な65歳までに行っておくのが理想的です。

ただし、年齢関係なく早め早めに行うのが終活を成功させるポイントになります。

というのも、終活は早く行うことで、

  1. 万が一のときに家族に負担をかけずに済む
  2. 自分の人生の終わりを自分で決められる
  3. 「死」を意識することで、「人生の目標」を決めやすくなる
  4. 生活設計を見つめ直して、長期目線で資金計画を立てられるようになる
  5. 老後への不安を具体的な行動で軽減していくことができる

といった5つのメリットを得られるからです。

また、何歳からどんな終活をやればいいか迷った際には、以下を参考にするのがおすすめになります。

  1. エンディングノートの作成:全世代におすすめ
  2. 告知・延命措置について:全世代におすすめ
  3. 介護や老後の住居について:全世代おすすめ
  4. 葬儀やお墓について:全世代おすすめ
  5. 遺言書の作成:40代・50代からおすすめ
  6. 生前整理:60代からおすすめ
  7. 残されたペットの処遇について:成人した同居人がいない方におすすめ

さらに、ライフスタイルの変化が激しい現役子育て世代の方は、終活とあわせてライフプランの作成も行うと良いでしょう。

終活内容を決める際に、いざというときの費用をどこから出せばいいか決断しやすくなります!

以上、今回は終活について重要なポイントをお話しました。

自分の人生の終わりについて考えることで、むしろ自分の人生に本当に必要なものがわかるようになります。

何歳からスタートしてもメリットが多い終活なので、年齢関係なく気になったタイミングで始めてみてくださいね!

土屋剛(FP)

もちろんFPとして、「相続関連の相談」や「ライフプランの作成」などの終活サポートをすることも可能です。

お困りの際は、お気軽にお声がけください!

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