実は、2022年10月はわたしたちの暮らしとお金に関連するさまざまな法改正が施行されるタイミングです。
そのため、普段はあまりニュースを見ていない人も、今回の法改正については関心を高めておくのがおすすめ!
具体的には、
- 働き方や給与
- 子育て
- 住宅
に関係したテーマを中心に、子育て世帯が知っておくと役立つ9つのニュースをFP視点で紹介していきます!
ぜひ、ご一読くださいね^^
土屋 剛(つちや ごう)
- 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
- 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
- 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
2022年10月から法改正などで変わるお金のニュース9選
2022年10月からの法改正で変更されるお金関連のニュースは、大きくわけて以下の9つです。
- 最低賃金が過去最高額に引き上げ
- パート・アルバイトの社会保険の適用範囲が拡大
- 雇用保険料の引き上げで労働者の負担増
- iDeCoへの加入要件が緩和される
- 世帯主年収1,200万円以上で児童手当がもらえなくなる
- 産後パパ育休制度がスタート
- 後期高齢者の医療費負担が1割から2割へ負担増
- 長期優良住宅の基準が改正される
- 火災保険料が大幅に値上げされる
この後に、それぞれ
- いつから(何月何日から)ルールが変わるのか
- どうして法改正(ルール変更)されるのか
- 以前と比べて、なにが変更になるのか
といったポイントを詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてくださいね!
①最低賃金が過去最高額に引き上げ
2022年10月の法改正1つ目は、「最低賃金の引き上げ」です。
最低賃金は毎年見直しが行われていますが、2022年の改定額は全国平均時給31円UPで、過去最高額となりました。
各国と比べ何十年も実質賃金が低迷し、物価が上昇して生活が苦しくなっている国民が増えていることを考えると、当然どころか足りないといえる変化だと言えます。
ただし、最低賃金はお住まいの地域によって
- 引き上げ額
- 最低賃金が改定される日程
が異なるので注意が必要です。
詳しくは、以下の表をご覧ください。
地域別の最低賃金改定内容(2021年~2022年)
都道府県 | 2021年 最低賃金(円) | 2022年 最低賃金(円) | 2022年 発効年月日 |
---|---|---|---|
北海道 | 889 | 920 | 10月2日 |
青森県 | 822 | 853 | 10月5日 |
岩手県 | 821 | 854 | 10月20日 |
宮城県 | 853 | 883 | 10月1日 |
秋田県 | 822 | 853 | 10月1日 |
山形県 | 822 | 854 | 10月6日 |
福島県 | 828 | 858 | 10月6日 |
茨城県 | 879 | 911 | 10月1日 |
栃木県 | 882 | 913 | 10月1日 |
群馬県 | 865 | 895 | 10月8日 |
埼玉県 | 956 | 987 | 10月1日 |
千葉県 | 953 | 984 | 10月1日 |
東京都 | 1,041 | 1,072 | 10月1日 |
神奈川県 | 1,040 | 1,071 | 10月1日 |
新潟県 | 859 | 890 | 10月1日 |
富山県 | 877 | 908 | 10月1日 |
石川県 | 861 | 891 | 10月8日 |
福井県 | 858 | 888 | 10月2日 |
山梨県 | 866 | 898 | 10月20日 |
長野県 | 877 | 908 | 10月1日 |
岐阜県 | 880 | 910 | 10月1日 |
静岡県 | 913 | 944 | 10月5日 |
愛知県 | 955 | 986 | 10月1日 |
三重県 | 902 | 933 | 10月1日 |
滋賀県 | 896 | 927 | 10月6日 |
京都府 | 937 | 968 | 10月9日 |
大阪府 | 992 | 1,023 | 10月1日 |
兵庫県 | 928 | 960 | 10月1日 |
奈良県 | 866 | 896 | 10月1日 |
和歌山県 | 859 | 889 | 10月1日 |
鳥取県 | 821 | 854 | 10月6日 |
島根県 | 824 | 857 | 10月5日 |
岡山県 | 862 | 892 | 10月1日 |
広島県 | 899 | 930 | 10月1日 |
山口県 | 857 | 888 | 10月13日 |
徳島県 | 824 | 855 | 10月6日 |
香川県 | 848 | 878 | 10月1日 |
愛媛県 | 821 | 853 | 10月5日 |
高知県 | 820 | 853 | 10月9日 |
福岡県 | 870 | 900 | 10月8日 |
佐賀県 | 821 | 853 | 10月2日 |
長崎県 | 821 | 853 | 10月8日 |
熊本県 | 821 | 853 | 10月1日 |
大分県 | 822 | 854 | 10月5日 |
宮崎県 | 821 | 853 | 10月6日 |
鹿児島県 | 821 | 853 | 10月6日 |
沖縄県 | 820 | 853 | 10月6日 |
全国加重平均額 | 930 | 961 | - |
②パート・アルバイトの社会保険の適用範囲が拡大
2022年10月の法改正2つ目は、「パート・アルバイトの社会保険の適用範囲が拡大」です。
これまでよりも、社会保険の加入条件が厳しくなるので、今まで年収106万円のラインで配偶者の社会保険の扶養に入っていた方が扶養から外れる可能性が出てきます。
政府は労働者の社会保障を手厚くするために、2022年だけではなく2024年にも社会保険が適用される人数を増やしていく予定のようです。
社会保険の加入条件の変更ポイント
2022年9月30日まで | 2022年10月1日から | 2024年10月1日から | |
---|---|---|---|
①勤務先の従業員数 | 501人以上 | 101人以上 | 51人以上 |
②雇用見込期間 | 1年以上 | 2ヶ月超 | 2ヶ月超 |
③週の所定労働時間 | 20時間以上 | 20時間以上 | 20時間以上 |
④月額賃金※1 | 8.8万円以上(年収106万円以下) | 8.8万円以上(年収106万円以下) | 8.8万円以上(年収106万円以下) |
⑤条件 | 学生でないこと | 学生でないこと | 学生でないこと |
- 1:賞与・残業代・通勤手当などを含まない金額です
- 2:上記5要件に関係なく、「週の所定労働時間」及び「月の所定労働日数」が正社員の3/4以上だと社会保険への加入義務が発生します。
- 3:出典:厚生労働省|社会保険適用拡大特設サイト
パート・アルバイトの場合、これまで従業員数501人以上の大企業に勤めている方だけが社会保険の加入対象になっていました。
しかし、今後は段階的に対象の従業員数が減っていくことで、中小企業に勤めているパート勤務の方も社会保険の加入対象者になる可能性が高まっていきます。
改正後の損しない働き方(年収)については、以下記事で詳しく解説しています。
あわせて参考にしてくださいね!
③雇用保険料の引き上げで労働者の負担増
2022年10月の法改正3つ目は、「雇用保険料の引き上げで労働者の負担増」です。
というのも、新型コロナの影響で、
- 雇用調整助成金の給付が増えた
- 失業手当の給付が増えた
など、雇用保険の財源が圧迫されたからです。
ただし、雇用保険料が引き上げられると、賃金がアップされても手取りが増えないなど労働者の負担が増えます。
そのため、毎年見直されるケースが多い雇用保険料について、いくら値上げされるのかしっかりチェックしておいたほうが良いでしょう。
ちなみに今回の引き上げは、
- 2022年10月から半年間
- 「失業等給付」の保険料を
- 0.6%に引き上げる
といった内容になっています。
2022年の雇用保険料の引き上げ
2022年4月~9月 | 2022年10月~2023年3月 | |
---|---|---|
①失業等給付(労使折半) | 0.2% | 0.6% |
②育児休業給付(労使折半) | 0.4% | 0.4% |
③雇用二事業(企業負担) | 0.35% | 0.35% |
①+②+③=雇用保険率 | 0.95% | 1.35% |
④iDeCoへの加入要件が緩和される
2022年10月の法改正4つ目は、「iDeCoへの加入要件が緩和される」です。
具体的には、2022年10月からはiDeCoに加入できなかった、企業型DC(企業型確定拠出年金)加入者の方も加入できるようになります。
これは政府がiDeCoを「誰でも利用できる老後資産形成制度」にするためです。
ただし、各月の企業型の事業主掛金額と合算して月額5.5万円を超えることはできません。
また、
- 掛金(企業型の事業主掛金・iDeCo)が各月拠出であること
- 企業型DCのマッチング拠出を利用していないこと
が利用する際の条件になっています。
⑤世帯主年収1,200万円以上で児童手当がもらえなくなる
2022年10月の法改正5つ目は、「世帯主年収1,200万円以上で児童手当がもらえなくなる」です。
これまでは、一定以上の収入がある世帯は特別給付として月5000円が支給されていました。
しかし、2022年10月1日からは、収入が高い親の年収が目安として1,200万円を超えると、一律で特別給付が無支給になってしまうのです。
また、今回の特例給付の廃止で削減されるお金は、待機児童対策費用に充てられるそうです。
2022年10月以降の児童手当
収入が高い親の目安年収 | 児童手当(月額) |
---|---|
年収1,200万円以上 | 0円 |
年収960万円~年収1,200万円 | 5,000円 |
年収960万円未満 | 0~2歳:15,000円3歳~小学生:10,000万円(第3子以降は15,000円)中学生:10,000円 |
- 上記は子供2人+配偶者を扶養している場合の目安年収です。実際に年収がいくらで特別給付が廃止されるかは、扶養親族等の数で異なります。詳しくは、『内閣府|児童手当制度のご案内』を御覧ください。
⑥産後パパ育休制度がスタート
2022年10月の法改正6つ目は、「産後パパ育休制度がスタート」です。
産後パパ育休制度とは、育児休業を父親も取得しやすい雇用環境の整備のために作られた新制度です。
具体的には、以下のような制度内容になっています。
- 子どもが産まれてから8週間以内に、通常の育休とは別に最大4週間の取得が可能
- タイミングを分割して、2回取得することも可能
ただし、夫婦同時に育休を取る場合には、いくつかの注意点があります。
詳しくは、以下記事で解説しています。
ぜひ、参考にしていただき計画的に育休を取ってくださいね!
⑦後期高齢者の医療費負担が1割から2割へ負担増
2022年10月の法改正7つ目は、「後期高齢者の医療費負担が1割から2割へ負担増」です。
法改正の理由としては、
- 人口ボリュームが大きい団塊世代が2022年以降、後期高齢者になる
- 現役世代の負担を軽減する
の2つが大きいようです。
具体的には、以下のような改正内容になっています。
2022年10月以降の後期高齢者(75歳以上)の窓口負担額
2022年9月30日まで | 2022年10月1日から |
---|---|
現役並み所得者:3割 一般所得者:1割 | 現役並み所得者:3割 一定以上の所得がある方:2割※ 一般所得者:1割 |
- 窓口負担額が2割になるかどうかは、75歳以上の方の課税所得や年金収入によって世帯ごとに異なります。詳しくは、『厚生労働省|後期高齢者の窓口負担割合の変更等』をご覧ください。
⑧長期優良住宅の基準が改正される
2022年10月の法改正8つ目は、「長期優良住宅の基準が改正される」です。
長期優良住宅とは、
- 長期にわたり良好な状態で
- 使用するための措置が講じられた
- 優良な住宅
のことで、2022年10月からこの基準が厳しくなります。
具体的な改正内容は、以下のとおりです。
2022年10月からの長期優良住宅の基準
2022年9月30日まで | 2022年10月1日から | |
---|---|---|
①耐震等級 | 2または3等級 | 2または3等級 |
②断熱 | 4等級 | 5等級 |
③一次エネルギー消費量 | 特別な基準なし | 6等級 |
- ①~③の基準をすべて満たさないと、長期優良住宅として認められません。
- 出典:国土交通省|長期優良住宅のページ
日本の住宅が世界基準でみると「性能が低い」と言われている現状をみると、前向きな変更だといえます。
ちなみに、住宅購入者視点で長期優良住宅には、
- 税制上で得するポイントが多い
- 快適な家で生活できる
といったメリットがある一方で、
- 建築コストがアップする可能性が高い
- 建築・入居後も定期点検しないと、認定を取り消される可能性がある
といったデメリットがあるため、ご自身で家を購入する(建てる)際は注意が必要です。
⑨火災保険料が大幅に値上げされる
2022年10月に変更になる9つ目のポイントは、「火災保険料が大幅に値上げされる」です。
こちらは法改正というわけではないのですが、多くの保険会社で
- 自然災害リスクの増加した
- 築年数の古い住宅の割合増加した
といった理由から、2022年10月1日以降に改定予定になっています。
具体的な改定ポイントは、以下の3つです。
- 火災保険料の値上げ(全国平均10.9%)
※プランによって40%〜50%の値上げ - 10年契約廃止(最長契約が5年に)+長期割引率の引き下げ
- 建物及び家財の水濡れ、破損、汚損について自己負担額(免責金額)の引き上げ
値上げされても、火災保険は加入し続ける必要性が高い保険になります。
今後保険の更新期限が迫った場合には、よく比較検討して保険の見直しを行いましょう!
結論:2022年10月の法改正は生活に直結する変更が多い
それでは最後に、本記事の重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
2022年10月からの法改正で変更されるお金関連のニュースは、大きくわけて
- 最低賃金が過去最高額に引き上げ
- パート・アルバイトの社会保険の適用範囲が拡大
- 雇用保険料の引き上げで労働者の負担増
- iDeCoへの加入要件が緩和される
- 世帯主年収1,200万円以上で児童手当がもらえなくなる
- 産後パパ育休制度がスタート
- 後期高齢者の医療費負担が1割から2割へ負担増
- 長期優良住宅の基準が改正される
- 火災保険料が大幅に値上げされる
の9つです。
どれも一般の方の生活に、大きく直結する改正内容となっています。
知っているだけでも損をせずに済む確率が高まるので、ぜひ気になるポイントは読み返してみてくださいね!
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