育休でボーナスが減る?家計ダメージが少ない育休の取り方をFPが解説

育休でボーナスが減る?家計ダメージが少ない育休の取り方をFPが解説

少し前に「男性の育休」をテーマに記事を書きましたが、今回は「育休とボーナス」に焦点をあてた内容を紹介したいと思います。

というのも、育休を検討されている方の中には、

マネ美

そもそも、育休でボーナスが減ることがあるのかな?

マネ太

もしボーナスが減るんだったら、家計へのダメージが大きそうだな。

といった不安を抱えている人が多かったからです。

具体的には、FP歴16年の土屋が、

の3つの順に「育休とボーナス」についてわかりやすく簡単にお話していきます。

土屋剛(FP)

特に夫婦同時に育休を取る場合には、ボーナスの有無が家計に与える影響も大きくなります!

ぜひ本記事を最後まで読んで、産後の家計不安を少しでも減らしておきましょう。

執筆・監修者

土屋 剛(つちや ごう)

  • 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
  • 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
  • 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
FP土屋
もくじ

育休中・育休明けのボーナスは減ることはない?

育休中・育休明けのボーナスは減ることはない?

育児休業制度を利用することで、育休中・育休明けのボーナスが減るかどうかは、

  • 会社員(民間企業)
  • 国家公務員・地方公務員

のようにどこで働いているかで、大きく異なるケースが多いです。

土屋剛(FP)

それぞれどういうことか、お話していきますね。

会社員(民間企業)のケース

会社員(民間企業)の場合、育休中・育休明けにボーナスが減るかどうかは、会社の就業規則によって大きく異なります。

なぜなら、事業者は就業規則の定めで、ボーナスの有無や支給条件などを自由に定められるからです。

具体的には、会社に応じて

  1. 全額もらえる
  2. 評価月のうち勤務した日数分だけもらえる
  3. 全額もらえない

の3パターンで、育休中や育休明けのボーナスについて就業規則を定めているケースが多いです。

土屋剛(FP)

会社員の方が育休の取得を検討する際は、まず就業規則を確認するようにしましょう!

国家公務員・地方公務員のケース

国家公務員・地方公務員の育休中・育休明けのボーナスは、ボーナスの基準日より6ヶ月前の勤務日数に基づいて支給されます。

ボーナス基準日&算定期間

ボーナスの基準日ボーナス算定期間
6月1日12月2日~6月1日
12月1日6月2日~12月1日

具体的には、以下のようにボーナス算定期間中に取得した育休期間に応じて、育休中や育休明けのボーナス額が変わります。

育休取得期間に応じたボーナス支給額

育休取得期間ボーナス支給額
1ヶ月以内満額支給
1ヶ月~5ヶ月勤務日数に応じて、数%~数十%支給されます
6ヶ月以上全額支給されません

ボーナスがない社員には見舞金が出る会社もある

育休中や育休明けにボーナスの支給がない方を対象に、数万円~数十万円程度の「見舞金」を支給してくれる自治体や会社もあります。

金額はそれぞれ異なるので、就業規則等を確認してみてくださいね!

土屋剛(FP)

では次に、長期育休で減るボーナスへの家計対策を紹介していきます。

長期育休で減るボーナスへの家計対策2選

長期育休で減るボーナスへの家計対策2選

長期育休で減るボーナスへの家計対策は、

  1. 年収が多いパートナーの扶養に入る
  2. 不必要な保険や固定費をカットする

の2つです。

土屋剛(FP)

どういうことか、一つひとつお話していきますね。

①年収が多いパートナーの扶養に入る

長期育休で減るボーナスへの家計対策1つ目は、「年収が多いパートナーの扶養に入る」す。

というのも、育児休業給付金や産休手当は、所得税も住民税もかからないお金です。

つまり、所得ではないため、年収としてカウントされません。

そのため、育休取得期間中の年収が約201万円以下なら、正社員であっても

  • 年収が多いパートナーの扶養に入ることで
  • 年収が多いパートナーの税金を
  • 数万円~数十万円減らすことが可能

になるのです。

ただし、自動で扶養に入れるわけではありません。

年収が多いパートナーの年末調整をする際に、扶養に入る配偶者の収入を記入する必要があります。

また、年収によっては、年収が多いパートナーの会社で扶養に入る手続きも必要になります。

土屋剛(FP)

詳しくは、会社の就業規則を確認しましょう。

年末調整の詳しい記載方法は、国税庁の動画PDFの「配偶者控除等申告書の内容の確認」を参考にしてみてくださいね!

②不必要な保険や固定費をカットする

長期育休で減るボーナスへの家計対策2つ目は、「不必要な保険や固定費をカットする」になります。

育休に入る前に家計の見直しを行い、不必要な保険や固定費をカットしておくことで、少しでも育休中の家計負担を減らせます。

ただし、子供が小さいうちは節約に力を入れすぎると、体力的にも精神的にも辛くなる確率が高いです。

そのため、見直す項目はあくまでも日々の生活に悪影響が出にくい、以下のポイントに絞っておきましょう。

育休前に見直したい家計のポイント
  • 独身時代に加入していた保険の見直し
  • 通信費(格安スマホへの乗り換えやギガ数の見直しなど)
  • 光熱費(電気・ガス会社の乗り換えなど)

また、育休前に忙しくて、ご自身で家計の見直しをするのが難しい場合には、FP相談でライフプランを作成するのもおすすめです。

長期目線で人生計画をシミュレーションして、一時的に家計がマイナスになっても後から取り戻せることがわかれば安心できます。

土屋剛(FP)

育休中はどうしても収入が減ってしまうので、お金への不安な気持ちが強くなりがちです。

しかし、ライフプランを見て家計の「耐え時」と「貯め時」がわかれば、焦らなくて済むようになりますよ!

男性育休で減るボーナス負担を軽減する3つの方法

男性育休で減るボーナス負担を軽減する3つの方法

長期育休ではなくても、夫側も妻と同時に育休を取る場合には、2人分のボーナスが減ってしまうため家計へのダメージが大きくなります。

そのため、

  1. ボーナス月の月末を含んで1ヶ月超の育休を取る
  2. 算定期間のうち数ヶ月だけ育休を取る
  3. 育休前に手取り数ヶ月分の貯蓄を用意しておく

の3つの対策を実践するのがおすすめです。

土屋剛(FP)

どういうことか、この次にご説明していきますね!

①ボーナス月の月末を含んで1ヶ月超の育休を取る

男性育休で減るボーナスの負担を軽減する1つ目の方法は、「ボーナス月の月末を含んで1ヶ月超の育休を取る」になります。

というのも、実はボーナス月の月末を含んで1ヶ月超の育休を取ると、ボーナスにかかる社会保険料も免除されるようになるからです。

ボーナス手取り額の比較例

通常のボーナス育休中のボーナス
ボーナス支給額60万円60万円
社会保険料-9万円0円
税金-4万円-4万円
手取り額47万円56万円
→ボーナス月に育休を取るだけで、手取りが9万円も増える!
  • 上記はあくまでも目安です。ご自身の社会保険料や税金額を知りたい場合には、過去の給与明細等を参考にしてください。

ちなみに、2022年9月末まではボーナス月の月末1日だけ育休を取れば、社会保険料が免除されていました。

しかし、2022年10月からは、ボーナス月の社会保険料が免除される条件が変更されています。

2022年9月末まで(改正前)
→2022年10月から(改正後)
  • ボーナス月の月末に1日でも育休を取得すると、社会保険料が免除される
  • ボーナス月の月末を含んで1ヶ月超の育休を取ると、社会保険料が免除される
土屋剛(FP)

制度の変更点に注意してくださいね!

②算定期間のうち数ヶ月だけ育休を取る

男性育休で減るボーナスの負担を軽減する2つ目の方法は、「算定期間のうち数ヶ月だけ育休を取る」になります。

育休中・育休明けのボーナスの支給について、「評価月のうち勤務した日数分だけもらえる」と定められている場合には、育休期間を調整すればボーナスの無支給を避けられます。

また、算定期間中の勤務日数で細かくボーナスの減額率が定められている場合は、

  • 育休期間が
  • 1日ずれるだけで
  • 数%~数十%もボーナス額が変わる

ケースも珍しくありません。

そのため、夫婦2人分のボーナスを減らすのが生活的に厳しい場合は、あらかじめ会社の就業規則をしっかり確認し、計画的に育休を取るのがおすすめです。

土屋剛(FP)

公務員と同じく1ヶ月以内の育休であれば、満額ボーナスが支給される会社も多いです。

家計の状況にあわせて、育休期間を決定しましょう!

③育休前に手取り数ヶ月分の貯蓄を用意しておく

男性育休で減るボーナスの負担を軽減する3つ目の方法は、「育休前に手取り数ヶ月分の貯蓄を用意しておく」になります。

なぜなら、育休によってボーナスが減ってしまった場合でも、貯蓄に余裕を持たせておくことで、

  • 育休中や育休明けの
  • 家計に余裕がない時期を
  • 切り抜けられる

からです。

子供が生まれた後はなにかと物入りで、家計負担も増えやすくなります。

働けない時期にお金の不安に悩まされてしまうのは、精神衛生上良くないので、子供が生まれる前から対策できていると理想的でしょう。

育休までに貯蓄額を増やすのが難しい場合は?

育休までに貯蓄額を増やすのが難しい場合には、

  • 定期預金
  • iDeCo
  • つみたてNISA

などの積み立てを育休中や育休明けの家計が苦しい時期だけ

  • 一時停止したり
  • 一時的に減額したり

することも可能です。

また、『不必要な保険や固定費をカットする』でご説明したように、この機会を使って家計の見直しをするのも有効でしょう。

土屋剛(FP)

そのときの家計状況にあわせて、収支バランスをコントロールしてみてくださいね!

結論:育休中のボーナスの有無は会社の制度で異なる

それでは最後に、育休中のボーナスについて重要なポイントを簡単におさらいしていきます!

本記事のまとめ

育児休業制度を利用した際のボーナスについては、会社の就業規則に応じて、

  1. 全額もらえる
  2. 評価月のうち勤務した日数分だけもらえる
  3. 全額もらえない

の3パターンで決まっているケースが多いです。

公務員の場合には、上記②に該当します。

また、長期育休で減るボーナスへの家計対策は、

  1. 年収が多いパートナーの扶養に入る
  2. 不必要な保険や固定費をカットする

の2つです。

男性も妻と同時に育休を取る場合には、

  1. ボーナス月の月末を含んで1ヶ月超の育休を取る
  2. 算定期間のうち数ヶ月だけ育休を取る
  3. 育休前に手取り数ヶ月分の貯蓄を用意しておく

の3つの方法で家計へのダメージを軽減してみてください。

以上、今回は育休中のボーナスについてお話しました。

ボーナスは生活費の一部として、欠かせないものになっているご家庭も多いです。

ボーナスの有無や金額で育休期間が変わってくるご家庭も多いと思うので、まずは勤務先の就業規則を確認して計画を立てましょう。

土屋剛(FP)

育休に入るにあたり、家計の見直しが必要な場合にはFP視点でのアドバイスも可能です。

ぜひ遠慮なくお声がけくださいね^^

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