「保険で安心を買う」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
とはいえ、金銭面の不安すべてに保険で備えるのは賢い選択とは言えません。
というのも、保険は加入価値が高い商品より、必要性が低く損する確率が高い商品のほうが多いからです。
そこで本記事では、FP歴15年の土屋が、
の順に、保険の見直しに役立つ情報を紹介していきます。

保険の本質を知り、生活費を圧迫してしまう保険料の削減を目指しましょう!
土屋 剛(つちや ごう)
- 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
- 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
- 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格


保険で安心を買う際に加入価値が高い保険3選


「保険で安心を買う」際に加入価値が高いと言える保険は、
- 火災保険
- 自動車保険(対人・対物無制限)
- 掛け捨ての生命保険(子育て世帯のみ)
の3つです。



それぞれ、なぜ加入価値が高いと言えるのかを解説していきますね!
①火災保険
火災保険は契約内容にもよりますが、
- 火災
- 落雷
- 破裂・爆発
- 風災
- ひょう災
- 雪災
- 水災
- 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など
- 漏水などによる水濡れ
- 騒擾(そうじょう)・集団行動等に伴う暴力行為
- 盗難による盗取・損傷・汚損
- 不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)
など、地震以外の幅広い損害をカバーしてくれる保険です。
具体的には、以下のようなシーンで少ない損失額~多大な損失額までカバーしてくれます。
- 子供が目を離した際に、壁に落書きをしてしまった
- 家具を動かしたときに、壁や床に傷が付いてしまった
- 子供がボールで誤って、ガラスを割ってしまった
- キッチンの火が、壁紙に燃え移ってしまった
- 雷が落ちて、自宅のテレビが壊れてしまった
- 隣家の火災で自宅に延焼してしまった



賃貸・持ち家に限らず、加入価値が高い保険です。
生活環境と照らし合わせて、契約内容を見直しつつお得に備えていきましょう!


②自動車保険(対人・対物無制限)
加入価値が高い保険2つ目は、任意加入の「自動車保険(対人・対物無制限)」です。
というのも、自動車は万が一事故を起こして、
- 相手に重大な障害を残してしまったり
- 死亡させてしまったり
した際に、強制加入の自賠責保険(死亡事故時は3千万円補償)や貯金ではカバーしきれない損害が発生します。
下記のように、万が一の損失額が大きい心配事については、保険でカバーしておくのが安心なのです。
交通事故高額賠償判決例
認定総損害額 | 損害内容 | 被害者 |
---|---|---|
5億2,853円 | 死亡 | 男・41歳 |
4億3,961円 | 後遺障害 | 女・58歳 |
4億5,381円 | 後遺障害 | 男・30歳 |
4億5,375円 | 後遺障害 | 男・50歳 |
3億9,725円 | 後遺障害 | 男・21歳 |



「貯金ではカバーしきれない損害は、保険に加入して備える!」と覚えておきましょう。
③掛け捨ての生命保険(子育て世帯のみ)
加入価値が高い保険3つ目は、「掛け捨ての生命保険」です。
ただし、掛け捨て生命保険に加入する必要性が高いのは、扶養している子供がいる世帯のみになります。



終身ではなく、掛け捨てのほうが良い理由は?



子供はいつか自立するものです。
一生涯養っていく対象ではないので、終身保険で備える必要がありません。



なるほど!
たしかに子育て期間だけ、保障されていれば十分ですね^^
生命保険(死亡保障)の特約として、病気やケガで長期間働けなくなったときのリスクに備えられる就業不能保障があります。
こちらは、万が一障害が残るほどの病気やケガを負ってしまったときを考えてつけておいたほうが安心です。



では次に、逆にコスパが悪く必要性が低い保険を7種類紹介していきます。
安心を買う視点で加入すると損する確率が高い保険7選


安心を買う視点で加入すると、コスパが悪く損する確率が高い保険は、
- 民間の医療保険
- 民間の介護保険
- 貯蓄型保険/払い済み保険
- 個人年金保険
- 外貨建て保険/変額保険
- 学資保険
- ペット保険
の7つです。



それぞれ、なぜコスパが悪く損する確率が高いのかを解説していきますね!
①民間の医療保険
コスパが悪く損する確率が高い1つ目の保険は、「民間の医療保険」です。
というのも民間の医療保険は、
- 公的な保険制度+貯金で医療費をカバーできる可能性が高い
- 掛け金以上の保険給付金を受け取れない確率が高い
といった2つの理由から、せっかく加入しても金銭面で損する確率が高くなっています。
基本的には、医療費代わりの貯金があれば、必要ない保険だと判断できるでしょう。



貯蓄額によっては、貯金が貯まるまでは加入しておいたほうが良いケースもあります。
判断に迷う場合には、ぜひ以下記事もあわせて参考にしてください!


②民間の介護保険
コスパが悪く損する確率が高い2つ目の保険は、「民間の介護保険」です。
介護保険には、要介護認定を受けた人が介護サービスを利用したときに、自己負担が原則1〜3割で済む公的保険があります。
その公的保険だけで不足する分を補填するために、民間の介護保険が存在するのです。



公的介護保険で補填できない介護費用は、いくらになるの?



世帯主または配偶者が要介護状態となった場合に、公的介護保険の範囲外になる費用総額は3,167万円です。
内訳は、以下の表をご覧ください。
公的介護保険の範囲外になる費用総額(平均)
一時費用 | 約242万円 |
月額費用 | 約16.6万円 |
介護期間 | 約13年11ヶ月 |
必要になる介護費総額(平均) | 約3,167万円 |



3,167万円も!?
じゃあ、やっぱり民間の介護保険で備えておいたほうがいいんじゃないの?



いえ、実は以下の理由から民間の介護保険で備えるよりも、積立投資で介護に備えるのをおすすめしています。
- 将来的にすべての人が介護が必要になるわけではない
- 若い頃に介護が必要になる確率が低い
積立投資(貯蓄)なら、介護が必要にならなくても自由にお金を使えます。
老後の必要費用は、保険ではなく自分で積み立てるのがおすすめです。



なるほど。
使える範囲が限定的な保険の場合には、万が一の損失額が大きくても積立投資で備えたほうが良いんだね!
③貯蓄型保険
コスパが悪く損する確率が高い3つ目の保険は、「貯蓄型保険」です。
貯蓄型保険とは、掛け捨ての生命保険と貯蓄がセットになった保険になります。
ただし、現時点で高い返戻率が期待できる商品は少ないです。
- 保険はいざというときに備えるもの
- お金を増やしたいなら投資
と役割をわけて考えるのがおすすめでしょう。
④個人年金保険
コスパが悪く損する確率が高い4つ目の保険は、「個人年金保険」です。
個人年金保険とは、投資信託で老後の年金作りをする保険のことです。
ただし、こちらも以下の理由からおすすめできません。
- 高い返戻率が期待できない
- インフレに対応していない
- 節税効果が少ない



やはり「保険はいざというときに備えるもの」「お金を増やすなら投資」とわけて考えるのがおすすめです。



じゃあ、老後資金を増やしたい場合にはどうすればいいの?



現時点では、節税効果が高いiDeCoがおすすめです。
ただし、年収が相当に高い方は、iDeCoやNISAを活用したうえで、個人年金保険料控除を最大減活用できる金額分だけ契約する方法もあります。




⑤外貨建て保険/変額保険
コスパが悪く損する確率が高い5つ目の保険は、「外貨建て保険/変額保険」です。
外貨建て保険は外貨で運用する保険のこと。
変額保険は、投資信託でお金を増やすことを目的とした資産運用商品です。
こちらも以下の理由から、おすすめできません。
- 外貨建て保険は、為替変動による元本割れリスクがある
- 変額保険は不要な保険コストがかるため、結果として手数料が高くなり、実質利回りが低くなってしまう



お金を増やすための資産運用は、保険ではなく投資でするという大原則を忘れないようにしましょう!
保険は保険、投資は投資で分けた方がお得な場合がほとんどですよ^^
⑥学資保険
コスパが悪く損する確率が高い6つ目の保険は、「学資保険」です。
学資保険は、死亡保障+投資信託がセットになった商品になります。
ここまで読んできた賢い読者の方はすでにお分かりのように、教育費であってもお金を増やしたい場合には保険よりも投資です。
また、学資保険は以下の理由から加入する意味があまりありません。
- 高い返戻率を期待できない
- 死亡保障も多くない



これからの時代は、積立投資(つみたてNISA)で手数料や税金を節約しながら教育費を貯めるのがおすすめでしょう。




⑦ペット保険
コスパが悪く損する確率が高い7つ目の保険は、「ペット保険」です。
ペットには、公的保険がない(医療費は全額自己負担)という理由から作られた保険になります。
ただし、以下の理由から加入をおすすめしていません。
- ペットの平均医療費よりも保険料のほうが高い
- 保険適用外の治療が多い
- 一年更新なので、ペットが弱ってきたときに契約更新不可になる可能性がある



実際にペットの医療費って、いくらくらいかかるの?



犬は年間約4.5万円、猫は年間約2.4万円です。
犬・猫ともに平均寿命は約14年なので、生涯で犬は総額63万円・猫は総額33.6万円ほどかかる計算になりますね。※



それくらいなら保険に加入しなくても、貯金でどうにかなりそうですね。
すでに不要な保険に加入している場合は、どうすればいい?


ここまで紹介したコスパが悪く損する確率が高い保険に加入している場合には、「金融のプロ(FP)と一緒に保険の見直しをするのがおすすめ」です。
なぜなら、ご家庭の貯蓄状況によっては、すぐに解約しないほうが良い商品もあるからです。
ただし、相談するのは誰でも良いというわけではありません。
場合によっては、見直しのタイミングでもっと手数料が高くつく不要な保険に加入させられてしまう可能性もあります。
相談相手を見極めるために、
- きちんとしたライフプランシミュレーションを作り
- 家計全体を長期目線で考えて
- 親身に相談者さま第一の中立なアドバイスをしてくれる
の3つの条件を満たした人なのかチェックするのを忘れないようにしましょう。



さらに詳しい信頼できるFPの見極め方は、以下記事で説明しています。
ぜひ、あわせて参考にしてくださいね!


結論:安心を買うなら、本当に必要な保険を厳選しよう!
それでは最後に、保険で安心を買う際に重要なポイントを簡単におさらいしていきます。
「保険で安心を買う」際に加入価値が高いと言える保険は、
- 火災保険
- 自動車保険(対人・対物無制限)
- 掛け捨ての生命保険(子育て世帯のみ)
の3つです。
この3つは、公的保険や貯金だけではカバーしきれない損害が発生した際に役立ちます。
一方で、コスパが悪く損する確率が高い保険は以下の7つです。
- 民間の医療保険
- 民間の介護保険
- 貯蓄型保険
- 個人年金保険
- 外貨建て保険/変額保険
- 学資保険
- ペット保険
上記7つの保険に加入している場合には、信頼できるお金の専門家(FP)の元で保険の見直しを行ってみましょう!
以上、今回は保険選びのポイントを紹介しました。
すべてのお金の心配事に保険だけで対応するのは、逆に損する可能性が高いです。
必要な保険を厳選したうえで、保険料(固定費)を節約して計画的に資産を増やしていきましょう!



ご自身だけで保険の見直しが難しい場合には、遠慮なくお声がけください!
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