連日ニュースやSNSで目にする
- 新型コロナウイルス感染症
- ウクライナ侵攻
の文字。
これまでの歴史を振り返っても、世界の大転換期といえる出来事が続く中で、日本経済(家計)への影響が気になっている方も多いと思います。
そこで本記事では、
- 暮らしとお金の専門家であるFP歴15年の土屋が
- 昨今の社会情勢が日本の消費者に
- どんな影響を与えるのかをわかりやすく
解説していきます。
- コロナやウクライナ情勢が今後日本経済に与える影響
- 日本経済が大丈夫か心配な消費者ができる対策
わたしはFPなので、政治や医療についてお伝えできることは特にありません。
その代わり、家計に影響が出るお金の内容を中心に紹介していきたいと思います!
※本記事の内容は、執筆時点(3月4日)の社会情勢をふまえた内容になっております。
土屋 剛(つちや ごう)
- 株式会社FCTGファイナンシャルプランナーズ:代表
- 講演実績:SBI証券や楽天等のマネーセミナー講師、確定拠出年金投資教育講師
- 保有資格:ファイナンシャルプランナー(CFP®)、日商簿記2級、一種証券外務員資格
コロナやウクライナ情勢で日本経済は今後大丈夫なのか?
結論からお伝えすると、安易に大丈夫とは言えない状況です。
むしろ、日本経済はこれまでにはない大打撃を受ける可能性が高まっています。
なぜなら、長引くコロナやウクライナ情勢によって、家計に直結する物やサービスの価格が高騰しているからです。
具体的には、
- 電気代・ガス代の値上げ
- 生活用品の値上げ
の2つが家計に影響を与えていく可能性が高くなっています。
それぞれどういうことか、お話していきますね。
①電気代・ガス代の値上げ
第一に、「電気代・ガス代の値上げ」が今後より加速していく可能性が高いです。
2022年3月3日時点の電気代・ガス代の値上げ情報
- 大手電力会社10社のうち7社は、
→8ヶ月連続の値上げを決定 - 東京ガスなど大手都市ガス4社は、
→8ヶ月連続の値上げを決定
というのも、2018年時点の日本のエネルギー自給率は11.8%で、他の諸外国と比べても非常に低い水準になっています。
電気やガスを使うための不足している燃料のほとんどは、海外から輸入している状況です。
そのため、日本は海外の燃料価格が高騰すると、電気代やガス代を値上げせざる得ない状況になっています。
実際に、ウクライナ侵攻前から燃料価格の高騰で、電気代やガス代の値上げが続いていました。
そして今回のウクライナ侵攻でさらに燃料価格の高騰に拍車がかかり、より電気代・ガス代の値上げが加速しているのです。
- 比較時期:2021年4月と2022年4月の電気代を比較
- 使用電力量:260kWhで試算
→使用電力量が同じでも約1,713円も電気代が高くなる!
- 上記はあくまでも目安です。比較時期・使用電力量・電気会社によって、いくら高くなるかは異なります。(冷暖房の使用量が増えるシーズンは、より値上げの影響を受けやすいです)
②生活用品の値上げ
第二に、「生活用品の値上げ」も今後より加速していく可能性が高いです。
こちらも以前から値上げが決まっていた商品が多いですが、ウクライナ侵攻によってさらに輸入先の物価が上がり価格高騰に拍車がかかりました。
具体的には、現時点で以下のような商品の値上げが各社から発表※されています。
2022年に値上げ予定の生活用品
- 小麦粉(パスタ、うどん、カップ麺など)
- 肉
- 油系製品
- 調味料
- お菓子
- 飲み物
- 紙製品
- 照明器具
- ガソリン
- 住宅用設備&機器 など
2022年の値上げが今までと違う点は、品目の多さや値上がり幅です。
消費者への経済的負担は、総額で年間数万円〜数十万円に上ると言われています。
えっ!給料が増えているわけでもないのに、そんな急激に値上がりしたら困っちゃうよ。
なにか対策はないの?
あります。そして、過剰に悲観する必要はありません。
というのも、これから紹介する対策を実践すれば、年間数万円~数十万円程度のマイナスは取り返せる可能性があるからです。
えっ!早く教えて!!
日本経済が大丈夫か心配な消費者ができる6つの対策
今後の日本経済が大丈夫か心配な消費者ができる対策は、
- どんぶり勘定をやめ、家計簿をつける
- 株価が暴落しても積立投資を継続する
- 生活防衛資金を確保する
- 電力会社・ガス会社を乗り換える
- 保険の見直し
- 収入源を増やす
の6つです。
それぞれどういうことか、FP視点で解説していきますね。
①どんぶり勘定をやめ、家計簿をつける
今後の日本経済が心配な消費者ができる1つ目の対策は、「どんぶり勘定をやめ、家計簿をつける」です。
これまで日本は長いデフレ(継続的に物やサービスの値段が下がっていく状態)で、質が良いものも安く買える国でした。
そのため、ある程度はどんぶり勘定でも、家計がどうにかなっているご家庭が多かったです。
しかし、今後は
- 給料はあまり上がらないのに
- 短期間のうちに物やサービスの価格が上がる
といった悪いインフレのリスクに備えなければなりません。
つまり、今までのようにどんぶり勘定で家計管理をしていると、思った以上に出ていくお金(支出)の割合が大きくなってしまう可能性が高いのです。
まずは、家計簿をつけて生活費が月額でいくら必要なのかを試算することからはじめてみましょう。
当サイトで紹介している『頑張らない家計簿の付け方』を実践してみるのもおすすめです!
②株価が暴落しても積立投資を継続する
今後の日本経済が心配な消費者ができる2つ目の対策は、「株価が暴落しても積立投資を継続する」です。
昨今は社会情勢の変化で、株価の変動が大きくなっています。
今後は、大暴落と言われる状況になることもあり得るかもしれません。
しかし、
- iDeCo
- つみたてNISA
などの積立投資(長期投資)の基本は、「目先の株価に振り回されず積立投資を継続する」です。
なぜなら、本業が投資家の人でも
- 株が安いときに買う
- 株が高いときに売る
方法でタイミングを見計らって投資でお金を稼ぐのは、かなり難しいことだからです。
歴史的には、株価は一時的に暴落しても必ず回復しています。
本来どんな目的で投資にまわしているお金なのかを思い出し、目先の株価に振り回されて意図しないタイミングで売却しないように注意しましょう。
今回のウクライナ情勢で、今後の米国経済の失速を心配する声が一部で上がっています。
もしご心配な場合には、米国だけではなく全世界の株式に投資する投資信託に変更するなども一案かもしれません。
詳しくは、FP相談でお話させていただければ幸いです。
③生活防衛資金を確保する
今後の日本経済が心配な消費者ができる3つ目の対策は、「生活防衛資金を確保する」です。
生活防衛資金とは、”仮に収入がなくなっても、一定期間は生活できる貯金”のことで、
- 会社員:生活費6ヶ月分くらい
- フリーランス:生活費1年~2年分くらい
を目安に確保できていると安心だと言われています。
今後インフレが加速し、物やサービスの値段が高まって家計が一時的に赤字になっても、生活防衛資金があれば投資などの資産は取り崩さずに済みます。
仮に月5千円(年6万円)の家計負担が増えても、生活防衛資金があれば十分カバーできます。
精神面の安定を維持するためにも、一定額の生活防衛資金は確保しておきましょう!
④電力会社・ガス会社を乗り換える
今後の日本経済が心配な消費者ができる4つ目の対策は、「電力会社・ガス会社を乗り換える」です。
『①電気代・ガス代の値上げ』でもお伝えしたとおり、輸入大国の日本は今後電気やガス代の値上げが続く可能性が非常に高くなっています。
電気やガスは大きな固定支出のため、放っておくと家計へのダメージが大きいです。
しかし、電力会社・ガス会社の乗り換えをすれば、年間1万〜3万円以上の固定費削減が可能になります。
特に電気代は、電力自由化で価格競争が起きています。
大手にこだわらず、エネチェンジなどのサイトを活用して、様々な電力会社の料金プランを比較してみましょう!
⑤保険の見直し
今後の日本経済が心配な消費者ができる5つ目の対策は、「保険の見直し」です。
というのも、保険は一度入ったら終わりではありません。
ライフスタイルに合わせてを保険を適切に見直すことで、
- 保険料の払いすぎを防いで
- そのときの生活環境に最適な保障内容
に調整できます。
保険の見直しで、固定費を大きく減らせるケースも多いです。
以下項目に該当する方は、細かな節約よりも先に保険の見直しで家計負担を減らしてみましょう。
- 子どもが生まれた
- 住宅を購入した
- 子どもが独立した
- 転職・独立した
- 保険料の支払いに負担を感じている
- 保障内容を理解せず、とりあえず加入している保険がある
⑥収入(労働力)を増やす
今後の日本経済が心配な消費者ができる6つ目の対策は、「収入源を増やす」です。
というのも、現在のように社会情勢の変化が著しい時期は、大企業でも対応が追い付かず経営破綻する可能性が高まります。
つまり、昭和的な
- 妻は育児
- 夫は仕事
の片働きスタイルだと、社会情勢の変化で夫の収入が途絶えたり減少したときに家計が詰んでしまうケースがあるのです。
もちろん夫が若くして亡くなったり、病気で働けなくなったりする可能性もゼロではありません。
現代の日本経済が心配な消費者は、リスクを減らすためにも
- 夫は残業を減らして、家事や育児の時間を増やす
- 妻は育児や家事を減らして、お金を稼ぐ
のように、それぞれが育児・家事・仕事を分散して、どちらかの収入の柱が弱まったり倒れたりしても「家計」や「家族の生活」が回るようにしておくと安心です。
そして実は、この収入源を増やすメリットは「家計リスクを減らす」以外にもう1つあります。
この次に詳しくお話しますね!
収入源を増やすもう1つのメリットとは?
収入源を増やすもう1つのメリットは、夫1人が多く稼ぐよりも妻が扶養内で同じ額を稼いだほうが家計全体のお金が増える点です。
例えば、夫が残業で月3万円(年36万円)多く稼ぐよりも、妻が在宅ワークや時短パート等で月3万円(年36万円)多く稼いだほうが手取り収入が増えます。
なぜなら夫は稼いだら稼いだ分だけ、税金や社会保険料が差し引かれるからです。
一方で妻は扶養内であれば、税金や社会保険料を引かれることなく稼いだお金をそのまま受け取れます。
でも、幼稚園のお迎えもあるし、私が働きに出て月3万円も稼ぐなんて現実的に無理だわ…。
今は、「在宅ワーク」で家にいながらお金を稼ぐことができる時代。
例えば、幼稚園に行ってるスキマ時間などを使って月数万円稼いでいる人もいますよ!
でも、育児と家事だけでも手一杯なのに仕事までする余裕なんてないわ…。
そこで、パパの出番です。
パパが仕事を早く切り上げて、ママがやっている家事や育児の負担を減らせば働く余裕もうまれます。
えっ!?僕???
冷静に考えてみてください。
育児も家事も仕事もママ1人がすべてやるのは、無理ゲーです。
ママが家計のために仕事をはじめるなら、必ずパパも「働き方」や「家事・育児の参加率」を見直しましょう。
家計全体をプラスにするなら、僕が1人で仕事を頑張るよりも家に早く帰って育児や家事をする。
それで、2人で稼いだほうが同じ年収でも手取り分がプラスになるってことだね!
そのとおり!もちろんすべてのご家庭ですぐに試せる方法ではありません。
しかし、今回の日本の各種値上げによる家計マイナス分はこの方法で簡単に取り戻せる可能性が高いです。
ぜひ検討してみてください^^
「すでに共働き」or「共働きが難しい」家庭はどうする?
会社の仕事(給与所得)を減らして、副業で事業所得を増やすのがおすすめです。
事業所得には、
- 社会保険料がかからない
- 最大65万円の控除が受けられる
- 経費を計上できる
といった3つのメリットがあるので、節税して手取り収入を増やすことが可能です!
- 会社員の給与所得のみで年収1,000万円=社会保険料約117万円マイナス
- 会社員の給与所得で年収300万円+副業年収700万円=社会保険料約44万円マイナス
→同じ年収1,000万円でも、②の働き方のほうが手取り額が約73万円も増える!
結論:日本経済は大丈夫ではないが、基本の対策でOK
それでは最後に、本記事の重要なポイントをおさらいしていきます。
コロナやウクライナ情勢で、日本は今後さまざまな物やサービスの値上げが加速化していく可能性が高いです。
具体的には、
- 電気・ガス代
- 生活用品
の家計に直結する値上げが目立つでしょう。
そのため、今後の日本経済が心配な消費者は、
- どんぶり勘定をやめ、家計簿をつける
- 株価が暴落しても積立投資を継続する
- 生活防衛資金を確保する
- 電力会社・ガス会社を乗り換える
- 保険の見直し
- 収入源を増やす
の6つの対策を実践するのがおすすめです。
以上、今回は「日本経済は今後大丈夫なのか」についてお話しました。
こういった世間を騒がすニュースが流れているときの情報収集の鉄則は、
- 長期的には、景気や株価がどうなるかは専門家も分からないことを知る
- 不安を煽るメディアやSNSの意見を信じ過ぎない
の2つです。
どんなときでも、基本の家計対策は変わりません。
初心に立ち返り、過剰に恐れずに対応していきましょう!
もちろん本記事で紹介した対策を個人で実践するのは、難しいケースも多いです。
FP視点でのアドバイスやサポートが必要な場合には、遠慮なくお声がけください^^
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